教育福島0052号(1980年(S55)07月)-027page
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以上のような本校における交通事故違反の実態及び生徒の意識を踏まえ今後の結導のあり方を再検討することにした。
バイクの全面禁止(三ない運動)を地域ぐるみで実施に踏みきっている県内の他校の例を参考に
「全面禁止に踏みきる」か「従来通り五〇CCの原動機付自転車に限り、強力な指導を加えつつ乗せる」かについて慎重な検討が繰り返された。
その結果次のような結論に達した。
強力な指導を加えつつ五〇CCのバイクに限り免許取得を認める。
この結論に達した主な理由は次の通りである。
(一)工業高校としての特性を考慮する。
(二)全面禁示をしても無許可での免許取得や無免許運転の心配はないか。
(三)現在の若者でバイクに興味を持つのは当然であろう。
(四)車社会の中にあって、少なくとも五〇CCのバイクは許可してもよいのではないか。
(五)本校は生徒の通学範囲が広く通学上不便な生徒も少なくない。
五 指導の実際
高校生をとりまく車社会の中で、我々学校関係者が強く望むことは、家庭と学校とが連携をより密にし、高校生に対し「安全教育の徹底」と「正しい運転技術の習得」により、事故と違反の防止に努めることである。
そのためには、より具体的にしかもきめ細かい方策を見いだし実践に移すことが必要である。
(一) 運転免許取得希望者への指導
1 免許取得希望→HRTへ申し出(生徒・保護者間の話し合いを確認)
2 保護者の来校を求めHRTと話し合う(五〇CC以下であることの確認、監督要請等)
3 免許取得願の提出
4 学校長の許可証発行
5 受講、受検
(二) 運転免許取得後の指導
1 運転免許取得届の提出
2 誓約書(保護者連名)の提出
3 安全運転者会への入会
4 バイク運転の「五大原則」の厳守
・バイク運転は五〇CC以下とする。
・バイクの貸借は絶対にしない
・バイクの二人乗り絶対禁止
・スピードの出し過ぎ注意
・ヘルメット着用の義務
5 その他
・夜間はもちろん、登校時も原則として使用禁止
・帰宅後、休日等の使用上の注意
・道路交通法の厳守
このような手順を経て免許取得を認めているが、このことが家庭でどれだけ理解され、どのように受けとめられているであろうか。放任にも似た状態で子供の言いなりになっている家庭も見受けられる。したがって家庭に対する一層積極的な働きかけが必要である。
(三) 事故、違反防止のたあの指導
1 年間指導計画
四月・運転免許取得状況調査
・事故・違反防止のための印刷物配付
・安全運転者会指導
・ゴールデンウイーク中の交通安全指導
五月・交通安全教室
六月・交通安全保護者懇談会
七月・安全運転実技講習会
九月・運転免許取得状況調査
十月・交通安全教室
十二月・冬季間の交通安全指導
※毎月少なくとも一回は全校集会を開催し、事故、違反の防止について指導
2 告示板利用による指導
折りにふれて告知板に次のような内容を書き、交通安全の意識の高揚を図る。
・バイク使用前には点検を
・バイクの二人乗りは絶対にしない
・バイクの貸借厳禁
・カッコだけを気にしない
六 反省と今後の指導
いま、この原稿をしたためている。ある生徒の父親から電話を受ける。「先生、大変申し訳ありません。私の息子が私のバイクを無断で乗り回し、無免許で警察官に補導されました」と。「バイクの鍵は」ときくと、「テレビの上に一寸置いたのを無断で持ち出した」とのことである。
現在の車社会の中にある若者たちのバイクに対するあこがれと関心は並々ならぬものがある。このことを十分に認識した上で、本校ではあらゆる条件を考慮し、交通事故と違反の防止に取り組んできた。しかしながら五十四年度もかなりの件数の交通事故と違反が発生したことはまことに残念である。
今後は、今までの指導のあり方を絶えず点検し、また他校の取り組みを参考にしながら、前途ある若者たちを車社会の犠牲から守り、高校生活の本来の目的を達成させるため、一日たりとも指導の手を休めることなく全校一丸となって更に強力に取り組むつもりである。
高校生のすべての問題行動にあてはまることであるが、生徒の直接の保護監督者である親たちのバイク問題についての認識が甘いことである。学校としてはあらゆる機会をとらえて啓発に努力し、学校と家庭がより連携を密にし取り組まなければならないと思う。
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