教育福島0053号(1980年(S55)08月)-013page

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意を生かした教育活動、中学校の選択教科の履習等においても、それぞれの目標を達成するため、児童生徒、学校及び地域の実態を的確に把握し、それに基づいて創意工夫し、特色ある教育課程を編成する必要がある。

2) 授業時数の運用

今回の学習指導要領の改訂で、標準授業時数の削減が行われたのは、児童生徒が心身ともに安定した状況のもとで、より充実した学校生活が行われるようにするとともに、学校の創意を生かした教育活動を行う時間をある程度確保しようという趣旨からである。

各学校では、この趣旨に添って地域や学校の実態に即して授業時数の運用に創意工夫を加え、学校生活全体が充実するよう十分配慮する必要がある。

 

(三) ゆとりと充実

 

今回の改訂の基本方針において、ゆとりのある充実した学校生活の実現が強調されている。また、教育課程審議会の答申においては、児童生徒が心身ともに安定した状況のもとで、より充実した学習が行われるようにするためには、学校生活を全体としてゆとりのあるものにする必要がある、と述べている。

学校生活全体とは、学校の責任において、教師の指導下におかれる生活の全体であって、各教科、道徳、特別活動はもちろんのこと、それ以外の教育活動(課外や休憩の時間等)も包含していると理解すべきである。

 

1 ゆとりと充実の考え方

「ゆとり」と「充実」を対立概念としてとらえることには問題がある。ゆとりと充実は、本来一体的なもの、表裏関係にあると考えるのが妥当であろう。充実を図るためにはゆとりが必要であるし、ゆとりをもつためには充実が前提条件とならなければならない。

ゆとりを考えるとき大切なことは、物理的・時間的ゆとりだけに目を向けることなく、精神的・心理的ゆとりに着目しなければならないということである。

「学校生活における充実」のめやすとしては、昭和五十一年に文部大臣が示した「新しい教育課程の方向を示す五つの柱」が端的にそのことを示していると思われるので次にあげる。

ア ゆとりのある充実した学校生活

イ 知・徳・体の基礎・基本を確実に身につけさせる教育

ウ 自ら考え行動する個性・能力と連帯を重視する教育

エ 教師の教育愛と創意工夫に支えられた教育

オ 二十一世紀の世界に生きる日本人の育成

 

2 ゆとりのある充実した学校生活を実現するための配慮事項

1) 知的偏重傾向の反省が必要である。学習指導要領においても、基礎的・基本的事項の確実な習得を目指して教育内容が精選された。この趣旨を日々の授業の中に生かすようにしなければならない。教科指導を切り離して「ゆとりと充実」は考えられない。

2) 今回の改訂によって削減された時間のすべてを特設時間の教育活動に充てようとすることは、教師も児童も負担過重となるので十分注意する必要がある。

3) いわゆる「ゆとりの時間」のみで学校の特色を出そうとすることは問題である。学校の特色は学校の教育目標を具現した結果として生まれるべきものと思われる。

4) 「ゆとりの時間」の運用は、豊かな人間性育成の手段であり、方法である。目的と手段・方法を混同しないようにする必要がある。

 

(四) 基礎的・基本的事項

 

教育課程の基準の改善のねらいの一つに、「国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること」が示されている。また、改訂の基本方針の中では、「各教科の基礎的・基本的事項を確実に身につけられるように教育内容を精選し、創造的な能力の育成を図ること」が示されている。

これをうけて学習指導要領では、児童生徒の学習負担の適正化や学習の適時性を十分考慮して内容の配分が行われ、各学校段階及び各学年段階で確実に身につけるべき内容に精選されている。また、各教科の目標・内容は、各学校において指導すべき中核的なもののみが示された。

このような基礎的・基本的事項の精選は、個々の児童生徒の学習の理解度を高めるとともに、自ら考え、学んでいく能力や態度の育成をねらいとしているものである。

各学校において教育課程を編成するに当たっては、これら学習指導要領改訂の趣旨を十分に生かすとともに、次の点について留意する必要がある。

1) 各教科のそれぞれの目標を達成するためには、基礎的・基本的な内容を重視し、それを確実に児童生徒の身につけることができるよう指導計画を作成する。

2) 基礎的・基本的な内容を明らかにするためには、まず学習指導要領に示している各教科の目標、各分野・領域の目標及び内容を十分に理解する。

3) 児童生徒の実態に即して具体的な指導目標を設定する。

4) 指導目標をもとに指導内容を構成する幾つかの指導事項の相互の関係を考え、指導内容全体の構造を明らかにする。

5) 全体の構造に基づいて指導目標を達成するために欠くことのできない基礎的・基本的な内容を明らかにする。

6) 指導内容は、基礎的・基本的な内

 

 

 


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