教育福島0054号(1980年(S55)09月)-009page

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とともに、真の幸福を目指す充実した生き方を追求する」「公私の別をわきまえ、公共の福祉を重んじ、社会連帯の自覚を持って理想の社会の実現に尽くす」などがあり、いずれも、将来の職業人としての心構えを育てる上で大切な内容であり、進路指導に深いかかわりのある学習といえる。

 

(三) 特別活動と進路指導

 

各教科、道徳には進路指導に関連の深い内容があるが、これらの各内容を進路指導の立場から更に補充し、統合し、深化する場は学級指導である。

学級指導には、「進路の適切な選択に関すること」が明示され、この中で「進路適性の吟味、進路の明確化、適切な進路選択の方法」等があげられている。

また、学級指導には、「個人及び集団の一員としての在り方に関すること」「学業生活の充実に関すること」「健康で安全な生活などに関すること」などの内容が示されている。

これらの内容は、いずれも進路指導にとって必要な内容が含まれており、学級指導における進路指導としては、「進路の適切な選択に関すること」だけではないことに留意しなければならない。

特別活動には、学級指導以外に「生徒活動」と「学校行事」が含まれているが、例えば、「生徒会活動」や「学級会活動」は、将来生徒が健全な学校生活や職業生活を営む上に必要な集団の成員との協調、集団の向上発展に努力する態度等の資質を養う実践的な活動が含まれている。特に、「クラブ活動」は、生徒が個性を発揮し伸長する機会として重要であり、生徒が自己の個性的特長を自覚したり確認したりする場となるとともに、将来の生活に必要な健全な趣味や教養を深め、余暇を善用する態度の育成の機会となる。

また、学校行事の中には、社会の見聞を広める「旅行的行事」や、勤労の尊さを学び、職業的啓発経験ともなる「勤労・生産的行事その他」が含まれているが、これらはいずれも進路指導の目指す人間形成に重要なかかわりを持つ活動といえる。

 

三 進路指導の活動

 

進路指導の活動は、次の六つに大別することができる。ここでは項目をあげるに止め、内容については各学校の創意に富む指導に期待したい。

 

(一) 生徒理解を深める活動と、生徒に正しい自己理解を得させる活動

(二) 就職や進学に関する指導援助活動

(三) 啓発的経験を得させる活動

(四) 進路に関する情報を得させる活動

(五) 進路相談の機会を与える活動

(六) 卒業者の追指導に関する活動

 

進路指導実践上の問題点とその改善

二本松市立

二本松第一中学狡教諭

佐藤正之

 

進路指導の目標の一つに、生徒の望ましい進路選択の能力や将来の生活への適応能力を伸ばすことがとりあげられている。しかし、高校生の中途退学者が年々増加し、就職生の離職率も高い現状は、わたしたちの進路指導に大きな警鐘になっているように思う。進路指導を実践していく上での問題点は実に多い。進路選択の指導をはじめとして、進路指導の理念に対する共通理解。校内の指導体制。生徒理解の技術。進路情報の収集整理と提供。学級における進路指導の進め方。父母との協力等の問題が山積しているのが現状である。それぞれの問題がいかに高くいかに深くとも、生徒の進路は、一人一人の生き方を決定する重要問題である。一人一人が、自分の将来に明るい展望を持ち、希望の実現のために、努力する生徒を育てることが、わたしたちの責任であり課題である。進路指導改善の手だては、実態等により創意工夫が特に期待されるが、以下本校の進路指導の一端を述べてみる。

 

一 本校の進路指導

 

(一) 進路指導の目標

1) 全体目標

○学校の全教育活動を通じて、生徒自らが自分の将来についてよく考え、自己理解を深める中で、個性に応じて、進路を選択、計画できる能力を育てる。

○自分の将来は、自分で開拓していく自覚を持たせ、新しい生活に適応するために、自分を向上することのできる能力を育てる。

2) 学年目標

一年 自己理解を図る中で、進路に対する関心を深め、進路計画をたてさせ、その実現のために努力する生徒を育てる。

二年 自己理解を更に深め、進路情報を正しく理解させる中で、自分の進路を一層明確にさせ、その実現のために努力する生徒を育てる。

三年 総合的な自己理解に基づき、自分に最も適切な進路を選択、決定し、将来の生活によりよく適応できる生徒を育てる。

(二) 本年度の重点努力目標

生徒、学校、地域の実態と学校教育目標、更に進路指導の目標から本年度の努力事項を次のように設定し、実践している。

1) 進路指導の理念についての共通理解を深め、一貫性のある進路指導の推進

 

 

 


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