教育福島0054号(1980年(S55)09月)-034page

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知っておきたい教育法令

教職員の任用

 

一 はじめに

 

毎年度末に人事異動が行われる。人事異動は、学校の教職員組織の充実や新陳代謝を図り、より充実した学校教育の実現を目的として行われるもので教育行政上重要な事柄の一つである。

人事異動表をみると退職、採用、昇任、転任と区分されている。この採用、昇任、転任を地方公務員法上「任用」という。以下、教職員の任用について述べる。

 

二 任用の意義と種類

 

職員の任用とは「任命権者が特定の人を特定の職員の職につけること」をいう。そして職員を任用する具体的方法としては、採用、昇任、降任、転任のいずれか一の方法によって行われるのである。(地方公務員法第十七条)

採用とは、現に職員でない者を職員の職に就かせることをいう。例えば、大学卒業者を福島県公立小・中・高校の教員に任命する場合である。

昇任とは、現に占めている職より上位の職員の職に任命することをいう。

例えば、課長から部長の職に任命される場合、教頭から校長に任命される場合等である。((注)校長の職が教頭の職よりも上位の職であることは学校教育法第二十八条、四十条、五十一条による。)

降任とは、現に占めている職より下位の職員の職に任命することをいう。

例えば、校長の職にある者が、心身の故障のために教諭の職に任命される場合等である。

転任とは、昇任及び降任以外の方法で、職員の職に任命することをいう。例えば、県立A高校教諭を県立B高校の教諭の職に任命する場合等である。

学校の教職員に欠員を生じた場合に前述した四つのうちいずれの方法によって任用するかは、任命権者(県費負担教職員の場合は、都道府県教育委員会)の裁量とされている。

 

三 任用の根本基準

 

職員の任用は、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。(地方公務員法第十五条)

この規定の趣旨は、職員の任用について「成績主義の原則」を明示したものである。

公務員制度の歴史においては、官職が門閥、党派的利益、政治的功績などに基づく情実によって支えられた時代があった。しかし、近代的公務員制度が確立されるに従い、公務が広く国民一般に公開(公務の平等公開)されることになり、必然的に公務員の任用について客観的な基準が要求されることになった。その客観的な基準は、公務員になろうとする者又は公務員になった者が有している客観的な能力の実証に求めることができると考えられた。

任用の基準となる客観的な能力の実証は、採用試験又は、昇任試験において示された受験者の成績であり、勤務評定などによって客観的に測定された職員の勤務遂行の実績等である。(『逐条地方公務員法』今枝信雄著参照。)

すなわち、人事行政は職員の能力の実証に基づいて行われるのである。

 

四 競争試験及び選考

 

前述のように、公務員の任用は、能力の実証に基づいて行われる。その能力の実証すなわち公務の職に適する職務遂行能力を有するかどうかを判定する手続として、競争試験及び選考がある。

この競争試験及び選考は人事委員会が行うこととされている。(地方公務員法第十八条)

県人事委員会は「職員の任用に関する規則」を制定し、競争試験及び選考に関する具体的内容を規定している。この規則に基づく競争試験及び選考の対象となる者は、公立学校の教職員中校長、教員(実習助手、寮母を含む)を除く職種の職員である。

教育公務員特例法第十三条は、公立学校の校長、教員の採用及び昇任は選考によるものとし、その選考は都道府県教育委員会の教育長が行うと規定して、校長、教員の採用及び昇任に関する地方公務員法第十八条の特例を定めている。県教育委員会が実施している教員採用候補者選考試験は、教員採用選考の一方法であり、校長昇任選考考査、教頭昇任選考考査は昇任方法の一

 

 

 


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