教育福島0054号(1980年(S55)09月)-039page

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フトウェアの制作などの実習を通して

技術的側面の向上も図ります。

 

1) OHPの活用

光学的映像機器の中で、これほど多種多様な提示のできるものはほかにはなく、TP自作の容易さなどとあいまって、各学級一台の時代を迎えるに至りました。しかし一年間を通して系統的・計画的に利用されているところはまだまだ少なく、断続的な利用のため学習訓練も不十分になり、その効果が現れていないのが実状です。講座では単なるTP製作の技法のみを学びとるだけでなく、子供の学習場面を具体的に設定していくためのソフト作りのポイントを習得いたします。

TPの構成にあっても、地図、グラフなどのような精密さを要する内容や写真など、チャート的利用のための単一構成、TP面の一部を紙などでおおい、集中性を高めるマスキング、あるいは、合成・分解が可能なオーバーレイなどがあり、学習場面をどのような学習活動をさせていくかによって提示法が選択されます。このような基本的な構想のもとにオリジナルを描き、クリアシートに記入していきます。ここでは特に、学年や子供の人数に応じた適切な文字の大きさなどにもふれて、オリジナルづくりの基礎を学びます。

また、カラーシート、モアレカラー偏光紙など、色彩を豊かにしたり、静止的な画面に流動するような変化をつけたりするための技法についても学び実習に応用していきます。

複写機の利用については、トラペンアップ等のほかに、写真法によるスライド的な利用のできる写真TPを作ることができます。三十五ミリカメラで撮影したネガさえ準備してあれば、写真の引伸しの技法で簡単に作れます。白黒ではあるが、学校周辺の教材をTP化して活用できるなど用途は広く今後整備していきたい教材の一つです。

 

楽しいTP作製

楽しいTP作製

 

2) VTRの活用

VTRは、カセット化によって操作が極めて簡単になり、企業努力によって価格も安く、性能もかなり向上しています。設備基準の改訂により、更に導入しやすくなり、ますます普及するものとみられます。

講座では、学校放送の録画利用のあり方について学ぶほか、テレビカメラを用いて教材をつくる方法も実習いたします。ポータブルVTRを用いてのテレビカメラ一台によるビデオ教材の制作、スタジオを利用して、二台のカメラによる制作などを通して コンテ(台本)作りや、タイトル書き、カメラワークや照明の技法などを習得します。また、ダビングの方法も行い、自分たちで作った教材を持ち帰ることもできるわけです。

 

3) 集団反応分析装置の利用

この機器は価格も高く、各机への配線となるため固定することとなり、普通教室に導入できにくい面もあって普及、活用ともに低いのが現状です。しかし、ほとんどが一斉指導で行われている現在、一人一人の学習を確かなものにしていくためには活用しなければならない機器の一つです。

各校で導入されている機器は、メーカーやその方式によってかなり異なるため、操作そのものよりも、反応分析装置としての特性や授業過程における利用法にウェイトを置いています。

ここでは、選択肢の作り方や、コミュニケーションのあり方、あるいは記録されたデータをもとにしてS|P表をつくるなど、問題分析の手法についても学びます。

以上、教育機器のうち、主なものについての研修内容を紹介しましたが、これらのほかに必要に応じて他の機種についても扱われます。

 

三 終わりに

 

指導要領の配慮事項に示されているように、視聴覚教材教具を計画的に利用し、効果が上げられるように各学校単位での組織的な実践が必要です。

そのためには、現在、既に導入されている機器の整備はもちろん、現有のソフトウェアを総点検し、指導計画に位置づける作業を進めなければなりません。この手だてをとることによって、今後の導入計画がより具体的なものとなり、教材の自作の見通しも立てられ、組織的な作業によって、能率的なソフトウェアの開発が可能になるわけです。

VTRやテレビカメラの導入が最近急に多くなっていますが、それらを取り入れる前に計画されたり準備したりしなければならないことがたくさんあるわけで、導入されてからホコリをかぶるという二の舞は演じたくないものです。

本講座では、授業そのもののあり方を探る一方、このような各校の実状に応じてどう対処していくべきかの基本となる技法を身につけ、研修の成果が各学校で還元され、より成果が上げられるよう願っています。

 

 

 


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