教育福島0055号(1980年(S55)10月)-009page

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工業

電気科における情報技術教育

福島県立白河実業高等学校教諭

国分義功

 

一 はじめに

 

本校電気科の教育目標は、「電気に関する知識・技術を習得させ、電気機器製造業・電気事業及びその他の電気関係の諸分野において製造・管理・運用・保守・技術サービスなどの業務に従事する技術者を養成する」ことである。この目標達成のため学習指導要領に基づき、普通教科と電気実習・電気製図を中核とした専門教科で、本校電気科独自の教育課程を編成している。

特に電気実習は学習の定着化・専門的技術・技能の習得、創造性の育成などに、最も重要な内容である。

 

二 電気実習

 

中心的科目である電気実習は、「電気に関する各科目との有機的な関連のもとに実際の作業を通して、体験的に工作・計測・観察などに関する基本的な技術・技能を総合的に学習させ、応用と創造の能力を養う」ことを目的としている。

指導内容は「工業基礎的実習・電気基礎実習・計測技術・電気機器、発送配電、照明、電熱、電気化学、電子基礎、電子機器応用、自動制御、情報技術」などである。工業基礎的実習は、昭和五十七年度からの高等学校学習指導要領改訂にそなえて、五十五年度に新しく導入した指導項目である。これは、工業課程への導入的要素で、工業の各分野にわたる基礎的・基本的な工業技術と興味、関心を高めさせ、工業分野に関して広い視野を養うことを目的としている。また、情報技術教育は、科学技術の進歩にともないオートメーション化、コンピュータ化の急速な普及をもたらしている産業界に卒業生を送り出している実業高校としては、不可欠の指導内容である。

 

三 電気科における情報技術教育

 

本校電気科の情報技術教育は、「電子計算機について基礎的・基本的な知識・技術と利用法を身につけさせる」ことを指導目標としている。

情報化時代といわれる現代に電子計算機のしくみを理解することは、現代人の教養として大切であり、現代の産業や工業を理解するためにも必要である。

しかし、電子計算機は、一般に複雑な構成になっていて、完全に理解することは容易でなく、座学だけでそのしくみや利用法などを理解しようとしても具体的にうなずけるものではない。

したがって、情報技術教育では、特に座学と実習とが密に融合化された指導でなければならない。また、進学率の上昇による生徒の能力の相違、生徒の学習意欲の欠如や工業教科の履修単位の減少、施設、設備の問題などの諸条件を克服して、情報教育の推進をしなければならない。このことをふまえて、指導の基本項目を次のように設定している。

● 電子回路の応用としての電子計算機の概要を把握させる。

● 電子計算機の性能、構成、各装置の役割を理解させる。

● ハードウェアとソフトウェアが一体となって、電子計算機が機能することを理解させる。

● データの表現は、二値信号で表現することを理解させ、また、十進数と対応させながら二進数を学習させる。

● 最も基本的な演算回路として、論理回路、加算回路、レジスタおよびエンコーダ、デコーダを学習させる。

● 演算装置、記憶装置、制御装置の動作を取り扱い、ハードウェアの基本を学習させる。

● 電子計算機の周辺装置について、その機能や構造を学習させる。

● 問題処理の流れ図をもとに、プログラムを作成し、電子計算機を活用できる能力と態度を養成する。

以上の指導項目は、電気工学3)、電気実習の科目の中で指導している。

関係科目の指導者は、複数なので内容的な面から体系的に指導するため、関係科目担当者間の連携を深め、常に系統だてた指導に努めている。

 

四 電子計算機の導入

 

今までの本校電気科における情報技術教育は、電子計算機組織が未導入であったため、ソフトウェアの指導は、座学中心の学習で、実習は、第三学年の生徒に対してのみ、福島県教育セン

 

 

 


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