教育福島0055号(1980年(S55)10月)-010page
ターのコンピュータを利用して、年間二回の終日実習であった。年間二回に集中させた学習では、座学と実習の融合化が図れなかった。また、地理的条件、交通費およびその他の経費などで問題点があった。
長年の念願がかなえられて、昭和五十四年度に、産振設備計画により電子計算機組織の導入が実現した。
電子計算機組織を導入するに当たり次の点に留意した。
● 電子計算機組織での実習は、ソフトウェアに重点をおき、ハードウェアについては、学習用モデルコンピュータ、マイクロコンピュータでおもに指導する。
● 言葉処理能力が十分あること。
● フォートラン、コボル、アセンブリ言語が使えること。
● 多人数教育ができること。
● オンラインによる会話型システムとオフラインによるパッチ処理ができること。
● 操作性、信頼性、耐久性が高いこと。
● 周辺機器の種類を多くし、あらゆる経験をさせ得ること。
● アフターサービスが万全であること。
● 入力媒体は、パンチカード、マークカード、紙テープとする。
五 電子計算機実習
電子計算機に関する実習は、三年時に六単位履修している電気実習の中に組み入れて指導する。
電気実習は、週当たり三時間ずつ二回の実習を組み、六個班編成のローテーション実習である。このローテーション実習の中に、電子計算機関係のテーマも組み入れて指導している。
(一) ソフトウェアの実習
1)フローチャート
情報処理の手順、すなわち、フローチャートの作成指導
基本的事項の学習に基づいて、各人各様の考え方によりフローチャートを作成し、その中で思考力や創造力・分析力が高められるようにし、筋道のとおった理論的な考え方ができる能力と態度を養成する。
2)プログラミング
フローチャートをもとに、フォートラン言語によって、プログラミングをし電子計算機による情報処理実習をする。
3)実習項目
ア 電子計算機の取り扱い方
イ 定数計算
ウ 四則の計算
定数の計算・変数の計算・積の計算・実数の計算・文字の印刷
エ 基本外部関数
オ 組み込み関数
カ 判断による分岐
キ 無条件飛び越し
ク くり返しと配列
ケ 総合演習
4)電子計算機の稼動の形態
電子計算機システムの稼動の形態は、ディスクオペレーティングシステムを使用し、会話型システムによるフォートランのリアルタイム処理また、オフラインによる紙テープ・パンチカード・マークカードなどのパッチ処理システム構成になっている。
一斉指導の場合は、マークカードによるパッチ処理で多人数のプログラミング実習を処理し、デバックのための指導担当者は、一学級当たり六人配置している。このマークカード処理については、来年度よりワンマークカードに切り替え作業能率の向上を図ることを計画している。
グループ別実習では、縦テープをベースにしたバッチ処理で、ローテーションにより他の電気実習と並列に展開する。一個班六、七名の生徒に対して、一名の指導者が当たり、個別的指導の体勢を整えている。
今年度は、電子計算機の導入初年度なので、会話型による形態では利用していないが、次年度以降会話型の実習も計画し、電子計算機との一対一教育で、更に密度の濃い実習としたい。