教育福島0055号(1980年(S55)10月)-012page
である。そのための準備段階として、生徒にとってK・J法という全く未経験な内容も理解をできるだけやさしく解説した「プログラム学習方法による手引書」(表1)を作成し、生徒に配布してK・J法の理論を具体的に指導した。
2)視聴能力を高める工夫
ア 放送教材「人間とは何か」の継続視聴
倫社の学習指導で、放送教材の特性を活用するため、年間指導計画の中に、放送教材「人間とは何か」の利用を位置づけ、継続的に利用しそれに加えて、高校通信講座の放送教材「倫理社会」を部分的に併用聴取させてきた。
併用利用の理由は、複雑な思想内容を順序だてて構造的に分析し、TP化して説明するのに適切な内容であり、教科書を補充する意味で効果があったからである。
イ K・J法図解と併用視聴
放送教育の大きな課題は、「どのようにしたら視聴能力を高めることができるか」という点に集約される。以前は放送の要旨・内容・興味を持った事項・感想・問題点を「視聴カード」に記入させてきたが、番組の内容を構造的にとらえ、自分の経験と結びつけて更に総展的に深めたものが少なかった。放送を聞きながらメモをとるだけでは、聞き逃しがあることがわかった。これは一過性の聴覚だけからの情報に限界があるからではないかと思われるので、K・J法図解したプリント(表2)も与え、その効果の有無を統計的に分析した。
(二) 検証授業
放送学習にK・J法図解を、併用視聴させる効果の有無をみるため、検証授業後のテスト分析と、放送視聴により過去五回生徒の記入した「視聴カード」を分析し、この二つの観点から二群法と作文法により調べてみた。
1)検証授業後のテスト分析
二年のクラスから実験群、統制群の二クラスを選び、知能検査、学力検査の両面から統計的に等質編成をし、主題として「パーソナリティの形成」の指導案を作成し検証授業を実施した。
統制群のクラスにはメモ用紙だけ、実験群のクラスにはメモ用紙の他に、放送内容をK・J法図解したプリントを配布、放送教材「性格の形成」を聴取させた。
その後、二つのクラスに同一内容の二十題のテストを実施した。
2)視聴カードの分析
放送教材「人間とは何か」を聴取させ、生徒の記入した視聴カードを次の四つの観点を基準にして統計的に分析してみた。
(観点)
1 番組の内容を、よく理解している
表1 K・J法のプログラム学習
表2 放送教材「核家族」のK・J法図解