教育福島0055号(1980年(S55)10月)-016page
構想がまとまらなかった、見えないので絵にしにくい、など、約二〇パーセントの生徒は、イメージを描くことの困難さを訴えてはいるが、この学習への興味は予想より高かったと思う。
また、技法的な点についての感想では、どちらも、拘束がなくのびのび描けたというものより、思った通り描けずに苦労したという回答が多く、それだけに、生徒たちの学習への取り組みが単なる遊びとはならず、成功したように思う。
ともかく、この学習の進行につれてはじめあったとまどいが薄れ、イメージが内面的な深まりを持つとともに、表現も豊かさを増したことは確かである。
題を、「風」「雨」「雪」など、形象の不確かなものとした理由は、構想を、想像や空想という面だけではなく、より観念的な世界への広がりも期待し、表現の仕方として、抽象表現にも結びつき易いものをという考えにとどまり、単なる風景に終わったものも居て、どのような題や手だてが適するかは、更に研究の要があろう。
作品について
表現の傾向は、象徴的なもの、具象的なもの、抽象的なもの、シュール的なものという順に大別できる。次にその作品を例示する。
写真説明
1)「光」暗やみを輝する光、道がかなたに伸びて行く−象徴的な表現−
2)「風」砂嵐の中をかける馬。たくましい力動感の表現−具象的な表現−
3)「風と光」生空間をよぎる白い蝶、下方の黒いかげは、消え去った人の残像−シュール的な表現−
4)「風」に天空から吹きおろす−爽快な風のイメージ−抽象的表現−
5)「雨」ミクロの世界(FlOのカンバスに鉛筆で点を打ち、次第に形を構成した)−錯画からの表現−