教育福島0055号(1980年(S55)10月)-019page

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3)できるだけ砕土し、細かい土の状態で寄せること。

また、(一)の3)によって「土寄せ」という作業を技術の深化として発展させることができる。

 

六 実施の結果から

 

(一) 予備学習の指導によって、学習のしかたを知り、学習の記録を要領よくまとめることができ、習慣化され正確さを期す努力が見られるようになった。

(二) 栽培の基礎的事項の理解の深まりとともに、知識の組み立てができるようになり、授業や実習が進めやすくなった。

(三) 「自分の活躍する授業、実験、実習」という態度が見られ、発問に対する答えかたや、質問をすることに抵抗がなくなり、問題意識を持って望むようになった。

(四) 体験学習では、自分のプロジェクトという意識を持ち、意欲的な管理や、観察状況、協力体制が見られた。

(五) 実習の内容に応じて、適切な管理機械、器具を選択し利用する姿がみられるようになった。

(六) 今後について

1)多様な生徒一人一人がおちこぼれないようにするために、次学年における学習指導法(特に形成的評価)の検討が必要である。

2)限られた時間のなかでの実験、実習指導には個人差がでてくる。進度差、能力差に応ずるためには、事前、事後指導体制を緊密なものに組織されなければならない。

 

七 おわりに

 

各「記録簿」を冊子作成するため、プリント額を配布して説明していくなかで、生徒に「何をやるんだろう」というとまどいと期待のあることを感じとった。当初、予備学習は、生徒にとってかなりの負担になることが予想され、進めていくなかで、事実そういう面がたびたびみられた。また、各記録簿の添削指導は、教師のかなりの負担とはなるが、添削の有無は、次の学習負担の軽重、態度、意欲に大きく影響することになるので、必ず行うべきことであるし、生徒との心の触れあいを図るうえで、大切なことと思う。

プロジェクト学習法は、意欲を高め実践の能力を高めることができるとはいうものの、その場だけの体験に終わることのないよう、その裏づけをきちんとしておかなければ、生徒の成就感はうすれてしまうので留意しなければならない。

今後は、この試みを継続していくなかで検討を重ね、本校生徒の実態にあった学習効果の上がる学習指導のあり方に取り組んでゆきたい。

 

家庭

家庭一般「保育」指導の試み

福島県立磐城女子高等学校教諭

舟生浦子

 

一 はじめに

「保育」の学習は、家庭科学習の総合的な教材であると思うが、核家族化によって生徒は乳幼児に接する機会や場も狭められて保育に関する機会や場も非常に乏しく、「自分のこどもを見ていると気持が悪い」「こどもは嫌い」という母親が日本人でも増えていることが報じられている。

以下は、生徒の興味、関心の比較的うすいこの学習を効果的に取り入れ、体験を通して問題をみつけ解決策を見い出せる意欲や態度を導き出したいと考えて試みた授業実践である。

 

二 生徒の実態

家族構成は、核家族が六十五パーセント、兄弟の数も二人が八十五パーセントと少数家族である。学習事項に対する生徒の興味は、

1)乳幼児の生活指導2)乳幼児の心身の発達3)乳幼児の健全な成長と家庭の順で示されている。

 

三 指導計画

(一)題材の目標

乳幼児の心身の発達を基礎として、基本的生活習慣の正しいあり方を認識させる。

1 乳幼児期は、将来の生活の基本型が定まる重要な時期であることを理解させる。

2 最近、社会不適応の児童も多いというが、乳幼児の心をとらえながら対処してゆく生活指導の態度と技術を身につけさせ、適切な指導のでき

 

 

 


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