教育福島0055号(1980年(S55)10月)-033page

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実践力を育てる

教育活動

−県北教育事務所−

 

福島の夏の夜空を焦がす華麗な光の供宴・第二回ふくしま花火大会は、八月九日夜、阿武隈川・松川合流点を打ち上げ場所に開かれ、十八万人(福島署調べ)の見物人の歓声がこだましたが、その後片付けを兼ねて、打け上げ場所を中心に清掃する「クリーン大作戦」が十日早朝から行われた。(「福島民報」)

 

この「クリーン大作戦」には、一般の市民のほかに、福島三中の生徒が参加している。最近これと似たニュースが沢山伝えられている。全市をあげて「クリーン運動」に取り組んでいる福島市内の小中学校をはじめ、厚樫山のふもとを走る四号国道沿いの空きかん拾いに励む大木戸小の児童たち。県立自然公園霞ヶ城趾などの清掃に取り組む二本松市内の小中学校の子供たち。町内の公園清掃に汗を流す本宮小など数えればきりがない。

奉仕作業を通して、地域社会の一員としての自覚を高めさせるとともに、愛市愛町運動を学校教育に取り入れる学校が多くなっている。

 

山間部の学校では、植林を通して地域社会にかかわることが多い。山小屋小や玉井小・大山小の緑の少年団。石田小のみどりのタイムなど勤労生産的な活動が盛んである。

故郷の自然をよみがえらせようと、源氏ぼたるをふ化育成し、幼虫を放流して、初夏の風物を復活させ地域の人々に感謝されている吾妻中のグラブ活動もある。このように地域社会と結びついた活動も多い。地域の伝統的行事を継承する飯坂小(福島市)の飯坂太鼓。郷愁をそそる小坂小の竹トンボ作りなどがある。

体力の増強を図って業間体操を取り入れている学校も多いが、校歌にあわせた大笹生小の体操はユニークである。太東マラソンと称して児童一人一人に太田・東京間走破というねらいをもたせた上太田小のマラソン。中体連に対して小体連といわれる東和町内・二本松市内の小学校球技大会など体位とともに体力の向上に努めている学校が多くなっている。

 

体力とともに豊かな心を育てようと創意をめぐらし工夫を凝らしている学校も多い。日赤県支部が企画した国際親善「病気お見舞カード」に応募した杉妻小もその一校である。杉妻小の児童の出したカードがイギリスで反響を呼び、返信カードとともに新聞の切り抜きが届けられ、心の交流とともに国際親善として高く評価されている。

学年のわくを超えて行われる下小国小の全校集会は、上級生が下級生をいたわり互いに協力しあって運営される。豊かな心はその中で育っていく。

 

今日一日お世話になった校舎に、感謝の心をこめて一礼し退校する大田小の児童。退校時、自律的に交通安全を誓う明治小の子供など教師の指図がなくとも自主的に行動できる児童生徒が育っている。

 

このように、いま、管内の小中学校では、新教育課程の実施や移行措置に伴い、人間性豊かな児童生徒の育成を目指した教育活動を取り入れ、実践力の育成に努めている。頼もしい限りである。今後とも、よりよいあり方を求めて研究を続けたいものである。

 

大地の恵み(玉井小)

 

大地の恵み(玉井小)

 

 

 


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