教育福島0055号(1980年(S55)10月)-039page

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紹介

中谷文庫

石川町中谷公民館

 

図書館コーナー

 

図書館コーナー

 

石川町中谷公民館に中谷文庫が開設され、地域の子供たちに開放されるようになって、はや三年目。今では、土・日曜日の午後になると手さげをもって本を借りにくる元気な子供たちで賑わっている。二歳ぐらいの子供が自分の気にいった本を母親に読んでもらっている姿は、本当にほほえましい光景である。

 

一 中谷文庫スタートのころ

振り返ってみると、中谷文庫が開設されたのは、昭和五十三年七月二日のことで、読書活動の事業をやってはどうかとの石川町教育委員会のすすめもあり、準備にとりかかったのである。

まず、専任読書指導員として元教員のAさんに依頼した。それから郡山市立図書館へいっていろいろとご指導を受けて、今まであった三百四十八冊の本の整理を行い、図書選定委員も決めて、五百冊の児童向けの本を揃えてスタートした。

「『お母さん!テレビに子供を奪われていませんか−』テレビッ子を少しでも読書好きな、情操豊かな子供に育てましょう」と文庫だよりを地域に配り、家庭特に、母親に呼びかけて協力をいただいた。

 

二 文庫活動のようす

和室に本箱を並べ従来からあった本に新刊書を加え、本の貸し出しをしている。本が足りないため、休書活用運動を地域の家庭に呼びかけたところ、これまでに八百七十三冊寄付していただいている。

また、県立図書館からは、五十三、四年度は三百冊、五十五年度は、五百冊の団体貸し出しを受け、子供たちは大喜びで利用している。現在の文庫の図書の数は二千八百四十八冊。

文庫の開館日は、土・日曜日と夏・冬・春休みの期間中で、時間は午後一時から五時まで、貸し出し冊数は、一人一回につき二冊までで、期間は一週間。図書貸し出しカードに記入して本を貸し出す方法をとっている。個人カードは公民館で作成して、子供の読書歴や読書の状況を把握する資料として活用している。

子供たちはどんな本を選んでよいのか迷って、最初のうちは大変世話がやけたが、今では自分の好きな本を自由に選択でき、四歳の子供でも一人でカードに記入していくようにまでなったことはとてもうれしい。

また、チビッ子講座として児童図書と関連した映画会を行い、みんなで感想を話し合ったり、お正月には、チビッ子新年会を開いて、詩の朗読、紙芝居、絵話など発表したりして、母親たちも一緒に楽しんでいる。今までに二回実施したが、本当に子供たちは生き生きと活動している。

文庫の利用状況は、幼児・小学校低中学年の女子の児童が、圧倒的に多い。一日平均四十冊の本を貸し出している。最近では、親子連れの数も多くなり、母親が紙芝居をしてやったり、読み聞かせをしたり、親子同志のふれ合いが生まれ、和やかな楽しい雰囲気が出て子供たちは、次の文庫の日が待ち遠しいとのことである。今まで字も読めなかったのに、本との出会いがきっかけで字が読めるようになったといって本を読む子供たち。読書指導員の果たす役割は大きい。

良い本がたくさんあって、そこにアドバイスする人がいれば必ず本好きになるようである。

公民館に遠くてこれない子供たちのために、移動文庫二か所(谷沢と坂路)を置き、世話人のかたに図書管理をお願いし、貸し出し簿に記入して借りて行くようにしている。(1か月ごとに本の交換)その時に指導員が巡回し、子供たちを集め、本の紹介をかねて、紙芝居や折り紙などをして遊び、話し合う機会を作り読書をするようにすすめている。

母と子の読書会を月一回開き、子供の本のおもしろさ、楽しさについて、話し合っている。また、文庫だよりを月一回発行し、文庫の利用状況、新刊紹介、読書会のようす等を地域の人たちに知らせている。

 

三 反省と今後の活動

読書する男子が少なく、特に高学年の児童の読書離れが目立っている。今後の問題として取り組んでいかなければならないと思う。そして母と子の読書会の会員をふやし、親に対する啓蒙を図っていきたい。<写真はチビッ子新年会風景>(有賀英宏)

 

 

 


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