教育福島0056号(1980年(S55)11月)-014page

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金合金を歯科治療材として、保険診療における材料費との差額徴収をすることが認められてから、その範囲が拡大されて、主として保険外治療材の使用に伴う材料費及び技術料の慣行料金と保険診療料金との差額徴収治療が次第に一般化する傾向となった。

その後、昭和五十一年に、この保険診療を基底とした差額徴収診療は廃止され、患者が保険給付外の材料等による治療を希望した場合には、その治療に関しては保険給付外とするところの保険診療と自由診療との二本建ての形となった。その結果、保険給付外診療を段階的に保険診療部分については全額自己負担となる。

● 室料差額

治療上必要がある場合の入院(病院又は診療所への収容)は、療養の給付の範囲に含まれるが、入院した部屋がいわゆる大部屋でないことなどを理由として、差額ベット料といわれる室料差額を入院一日を単位として徴収される場合がある。

建前上は、個室又は二人部屋であって差額徴収を首肯し得るものについて患者の希望がある場合に限るとされているが、病院経営にもからむ問題でもあり、必ずしも基準どおりに行われていない向きもあるようで、厚生省としては、行政指導及び保険診療における室料及び給食料等の保険収入の引き上げによって改善の方向を目指しているようであるが、引き続き全額自己負担となる室料差額については問題が残る。

●付添看護料

患者の病状が重く絶対安静を要する場合、手術後で常時監視を要する場合、体位変換又は床上起座が不可又は不能の場合等の理由によって、看護婦、准看護婦又は看護補助者の付添いを必要とする場合には、療養費としての看護料が支給されるが、現実の支払額は、支給額を上回るのが通常であり、その差額は自己負担となる。

また基準看護(入院患者に対する看護婦等の数が一定割合以上である看護体制、保険診療の費用の算定において、入院料に加算される)を実施している医療機関における入院については、療養費としての看護料は認められないので、現実に看護担当者(通常は、家政婦等の看護補助者)を付き添わせても、その費用は、全額自己負担となる。

 

六 任意継続組合員制度

 

任意継続組合員制度とは、組合員が退職し、再就職しない場合に、希望すれば二年間は任意継続組合員となり在職中と同じ様に短期給付及び福祉事業を受けることができる制度である。

 

(一) 範囲

任意継続組合員の対象となる者は、組合員が退職の日の前日まで引き続き一年以上組合員であった者で、その退職の日から起算して二十日を経過する日までに、引き続き短期給付を受け、及び福祉事業を利用することを希望する旨を共済組合に申し出た者である。なお、任意継続組合員となった者には組合員の交付があり、その証でもって在職中と同様に医療機関で診療を受けられることとなる。

 

(二) 掛金

掛金は、退職時の掛金の基礎となった給料の額(組合員期間が十五年以上でかつ五十五歳以上の退職者については、この額に千分の七〇を乗じて得た額)が共済組合員の“平均給料の額”かどちらか低い方の額に千分の六九・九を乗じて得た額が一月分の掛金となる。

 

(三) 給付

任意継続組合員の短期給付及び福祉事業の利用については、一部の給付を除き引き続き組合員と同じ様に取り扱われる。

 

(四) 資格喪失

任意継続組合員は次の各号の一に該当したときは、その翌日(4)に該当するときに至ったときは、その日)から資格を喪失する。

1) 任意継続組合員となった日から起算して二年を経過したとき

2) 死亡したとき

3) 任意継続掛金をその払込期日までに払い込まなかったとき

4) 組合員(他の法律に基づく共済組合で短期給付に相当する給付を行なうものの組合員その他健康保険又は船員保険の被保険者を含む)となったとき

5) 任意継続組合員でなくなることを希望する旨を共済組合に申し出た場合においてその申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき

 

七 昭和五十四年度の短期給付額

 

昭和五十四年度における短期給付の支出内訳は、表8のとおりであるが、支出総額は四十一億九千六百万円となり、組合員(二万二千三百四十六人)一人当たりは、十八万七千円となっている。

また、この支出総額を医療給付とその他の給付に分けてみると医療給付は全支出の九十五パーセントの三十九億七千万円となっている これは、組合員一人当たりにすると、十七万七千円となる。

 

 

 


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