教育福島0056号(1980年(S55)11月)-016page
施策が講ぜられ、扶助料の最低保降額等の大幅な引上げによるもので、これら優遇措置により扶助料の実質支給率は、恩給の六〇パーセントに達したことになる。
(二) 昭和五十五年度の改善内容
恩給法等の一部が改正され、昭和五十五年五月六日、法律第三十九号をもって公布されたが、その主な改正点は次のとおりである。
1 恩給年額の増額
昭和五十五年度においても、これまでと同様、昨年度の国家公務員給与の改善傾向を分析した結果に基づき、恩給年額を平均三・四パーセント引上げることとし、本年四月から改定措置が講じられた。
2 最低保障額の引上げ
六十五歳以上の長期在職者に給する最低保障額を、本年四月から六十七万一千六百円に、六月から七十万円に引上げられ、これに準じて扶助料等の最低保障額の改善措置も講じられた。
3 寡婦加算の増額
本年も、昨年に引続き、普通扶助料の給付水準の引上げを図るため、厚生年金における寡婦加算の大幅な引上げに準じ、本年八月から引上げ措置が講じられた。
三 退職年金等
共済組合の長期給付には、退職年金・減額退職年金等六種の年金のほかに一時金たる給付金として退職一時金、返還一時金、廃疾一時金及び死亡一時金の制度があったが法改正により、昭和五十五年一月一日以後、廃疾一時金を除き一時金制度は廃止された。
しかし、六十歳になっても何らの年金権も発生しない組合員を救済する措置として、脱退一時金の制度が創設され、また、昭和五十四年十二月三十一日に、現に組合員であった者が、その後、二十年未満で退職し何らの年金権も得ることなく、六十歳未満で死亡した場合には、その者の遺族に特例死亡一時金を支給する措置が講じられた。
(一) 昭和五十四年度執行状況
長期給付にあてる財源は、組合員の掛金と県の負担金等からなるが、昭和五十四年度支部における収入総額は、図4にみられるように百二十七億九千百三十九万六千円で、昭和五十三年度に比べ、一〇・七パーセント増となった。
支部では、この収入のうちから、退職一時金千二百二十八万四千円を支払い及び支部積立金を控除し、本部へ送金した。
昭和五十四年度に、本部において支給した本県関係の年金給付は、表11のとおり、百三億四千一万四千円で、昭和五十三年度に比べ、十五・六パーセント支出増となった。
年金給付は年々増傾向を示しており昭和四十九年度に一人当たり平均九十五万六千八百円であった退職年金が、五年後の昭和五十四年度には、一・八九倍の百八十万四千円になった。
この増加の主な原因は、公務員給与のベース・アップに準じて、毎年実施されている年金額の増額改定措置によるところが大きい。
(二) 共済年金制度等の改正
(1) 退職年金等の支給開始年齢の引上げ
地方公務員の共済組合制度発足以来共済年金制度を取りまく社会経済情勢等の変化を考慮した場合、共済年金一の支給開始年齢について再検討すべき時期にあるのではないかとの認識のもとに各方面で種々検討がなされてきた。
昭和五十四年の法改正は、これをふまえたものであり、昭和三十七年の現行共済制度発足以来五十五歳となっていた退職年金及び夫、父母又は祖父母に対する遺族年金の支給開始年齢を五十五歳から六十歳に引上げられた。
また、減額退職年金の支給開始年齢を、昭和五十五年一月一日以後、退職年金の支給開始年齢六十歳の五歳前からに限定するとともに、減額退職年金に係る減額率についても保険数理を基礎として政会で定める滅額率とすることとされた。この政令は、さる六月三十日公布され、次表に掲げる率が減額率とされたが、従前の減額率に比べ大幅な引上げとなった。
年数 減額立 一年 〇・〇八五 二年 ○・一六○ 三年 ○・二三○ 四年 〇・二九〇 五年 ○・三五○
なお、退職年金等の支給開始年齢の引上げに当たっては、制度の急激な変更を避けるため、段階的に引上げる経過措置が講じられた。
1) 退職年金及び減額退職年金の支給開始年齢
(ア) 年齢による経過措置(自己都
表10 昭和54年度恩給支給状況
種別 人員 支給額 左の前年度比 1人当り支給額 左の前年度比 普通恩給退隠料 1,589人 2,022,148,890円 101.9% 1,272,592円 106.0% 扶助料遺族扶助料 1,027 785,761,826 108.1 765,286 108.4 計 2,616 2,807,910,716 103.6 1,073,360 106.2