教育福島0056号(1980年(S55)11月)-031page

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知っておきたい教育法令

 

学校防火管理者の業務等

 

「校長は毎学年当初に学校の警備及び防災の計画をたて、これに基づいて消火、通報、避難等の訓練を定期的に実施しなければならない」(管理規則準則三六条、管理運営に関する規則四六条)ことになっているが、今回はこれら計画と訓練その他防火管理者の業務等について述べることにする。

 

一 防火管理者の選任及びその届出

 

消防法第八条一項は「学校…その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理についての権原を有するものは…資格を有する者のうちから防火管理者を定め…」と規定している。

したがって、学校という防火対象物の管理についての権限を有する校長等は防火管理者を定め、遅滞なくその旨を消防長もしくは消防署長に届出なければならない。解任したときも同様である(同二項)。また、この選任届の際は防火管理者の資格を証する書面を添えることとなる(同施行規則四条)。

 

二 防火管理者の業務と責務

 

防火管理者の業務は、次のようになる。

(一) 当該防火対象物についての消防計画の作成

(二) 当該消防計画に基づく、消火、通報及び避難の訓練の実施

(三) 消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備

(四) 火気使用又は取扱いに関する監督

(五) 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理

(六) 収容人員の管理

(七) その他防火管理上必要な業務(同八条一項)

このような業務を遂行するに当たっての防火管理者の責務として「防火管理者は、防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理の権原を有する者(校長等)の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない」(同施行令四条)と規定されてあり、前記(一)〜(七)の業務遂行についても防火管理者の責務として同様に規定してある。

 

三 その他

 

以上防火管理者の業務及び責務等について述べてきたが、以下さらに業務遂行上必要なことについて述べる。

(一) 消防計画について

消防計画の作成は防火管理者の責務であるが、その中にもり込むべき事項は、消防法施行規則第三条各項各号のとおりである。作成した場合、又は変更した場合には、所轄消防長又は消防署長に届出なければならないことになっている。各学校にあっては毎年度、児童数、各室の用途、教職員、その他に変動があると思われる。したがって毎年度当初にその旨を届出る必要が出てくる。

(二) 避難訓練について

消防計画に基づく避難訓練は、各学校とも年二回程度実施しているようであるが、法の上ではその実施回数についての規定はない。ただ幼稚園、盲・聾・養護学校にあっては年二回以上実施しなければならない(消防法施行規則三条四項)。またこの訓練を実施する際には、あらかじめ、その旨を消防機関に通報しなければならないことになっている(同五項)。

(三) その他

消防法第二条で防火対象物として、建築物等を指定しているが、すべての防火対象物について防火管理者を選定する必要があるのではなく、幼稚園、盲・聾・養護学校においてはその収容人員が三十人以上の場合、小・中・高校等では五十人以上の場合に防火管理者を選任し届出るべき旨が規定されている(同法施行令一条三項)。なおこの収容人員とは教職員の数と幼児、児童又は生徒の数とを合算した数である(同施行規則一条)。また、同一敷地内に管理の権限を有する者が同一の者である防火対象物が二以上あるときはそれらを一の防火対象物とみなし、防火管理者は一人を選任すればよいこととなっている(同施行令二条)。

最後に、消火活動上必要な施設の点検及び整備等について、防火管理者として知っておくべき事項等については、市町村教育行政実務提要第四章を参照願いたい。

 

 

 


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