教育福島0057号(1980年(S55)12月)-035page

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障害児のための児童図書

県立図書館主任司書

浦井洋子

 

図書館コーナー

 

図書館コーナー

 

昨年から、養護学校教育義務制が実施された。そして、来年は国際障害者年である。

障害児問題がとりあげられるにつれて、こうしたハンディを負った子供たちを理解するための児童図書もスウェーデンをはじめ諸外国では出版されてきた。

それらのいくつかを手にしてみて、一般の大人も子供も、ぜひ、一緒に読んでほしいという感を深くした。今回の資料紹介は、障害児を扱った子供の本である。

 

「わたしたちのトビアス」

「わたしたちのトビアス大きくなる」

<セシア、ボー・スベドベリ編 トビアスの兄姉絵 山内清子 ビヤネール多美子訳 偕成社 各六八〇円>

トビアスは障害児です。トビアスの兄姉がトビアスとの一緒の生活の中から、見たこと、感じたこと、考えたことをありのままに記したスウェーデンの障害児をもった一家が作った絵本。ダウン症児のトビアスから、一家は多くのものを学びます。

 

「はせがわくんきらいや」

<長谷川集平著 すばる書房 九八○円>

「はなたらすし、はあ、がたがたやし、てえとあしひょろひょろやし、めえどこむいとんかわからへん」ヒ素中毒患者の長谷川くんは「一緒におったら、しんどうてかなわん」友達です。同級生の男の子は、なぜヒ素の入った「そんなミルク飲ませたんや」と疑問に思い、「きらいや」と言いながら、「だいじょうぶか」と気遣わずにはいられないのです。

 

「これ、なあに?」

<バージニア・A・イエンセン、ドーカス・ル・ハラー著、くまがいいくえ訳 偕成社 一、八〇〇円>

目の健全な子供は活字をおぼえる前に、絵本で物語の楽しさを知る。盲人のためには点字の本がある。しかし、まだ点字をおぼえない、目の見えない子供にとっては絵本の楽しさを知ることはできない。そんな子供のために、「さわる絵本」が、日本で始めて出版された。目の見えない子供も、見える子供も、みんなで楽しめる絵本です。

 

「ぼくはレース場の持主だ」

<パトリシア・ライトソン著 猪熊葉子訳 評論社 九八〇円>

現実と空想の区別のつかない知恵おくれのアンデイは、冗談を真にうけてレース場を三ドルで買い取ったと思いこんでしまいます。それを面白がる心ない大人の行為は、ますますアンデイに現実と空想のけじめを失わせます。その有様をみて四人の少年たちはアンデイの夢をこわさずにアンデイを「現実」に引きもどそうと奮闘します。

 

「だれがわたしたちをわかってくれるの」

<トーマス・ベリィマン写真・文 ビネヤール多美子訳 偕成社 二、二〇〇円>

スウェーデンのカメラマンが心身障害児の姉妹(六歳-七歳)の生活をカメラで綴る。スウェーデン中で、さまざまな論議をまき起した話題の書。

 

「ぼく耳がきこえないんだ」

<ブルーム著 チャールトン絵 色田晶子訳 偕成社 六〇〇円>

 

「指で見る」

<トーマス・ベリイマン写真・文 ビネヤール多美子訳 偕成社 二、二〇〇円>

 

「まどのむこう」

<チャールズ・ピーキング著・絵 らくだ出版社 九五〇円>

 

「はだかの天使」

<赤木由子著 鈴木琢暦絵 新日本出版社 九八〇円>

 

「春駒のうた」

<宮川ひろ著 偕成社 九五〇円>

 

「白鳥の夏」

<ベッツィ・バイアース著 掛川恭子訳 富山房 九五〇円>

 

「シパードン大佐の時計」

<フィリップ・ターナー著 神宮輝夫訳 岩波書店 一、二〇〇円>

 

「ハイジ」

<シュピーリ著 矢川澄子訳 福音館書店 一、五〇〇円>

 

 

 


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