教育福島0057号(1980年(S55)12月)-037page

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加した折りに、「茶わん蒸し」の指導に取り入れ、検証授業を行い、効果的であった。

同じく小麦粉の調理性についても、グルテンを抽出することにより、強力粉と薄力粉の差を目で確かめさせることができた。グルテンの特性をふまえたことにより、科学的な調理学習をすることができた。

家庭科室の「生活を見つめるコーナー」には、研修で実験した加工食品中の食用色素の検出表を掲示し、賢い消費者の育成に役立てている。

今年度の研修では、スモックの製作実技の指導資料の研究と作成が行われた。

そでつけやわき、そで下縫いの標本は、即グループ指導用に活用し、腕の上げ下げによってもつれない平そでのつけ方の指導に役立っている。

電気領域では、前回作成した自動温度調節器の教具を、電熱器のしくみの中に位置づけてみた。それによって電気機器のしくみや、正しい取り扱いが生徒の学習の中に定着してきた。また今年度作成した安定器の実験装置を電気機器の効果的な利用及び安全な取り扱い等の指導に活用していきたい。

(本郷町立本郷中学校教諭 矢沢スイ)

 

・高等学校家庭講座(食物)

丁度、新指導要領の改訂とあいまって実験実習の重視が叫ばれている折り今回の実習内容は、身近な題材で、すぐ授業に生かせ、有意義であった。

食物分野は、調理実習がかなりの比重を占めるため、比較的、従来も実験実習の占める割合は多かったわけであるが、今回の改訂の主旨にのっとり、講義中心であった授業に、いかに分かり易い、手軽な実験を取り入れるかで頭を悩ませていた私にとって、願ってもないヒントとなった。

年々多様化している生徒を前に、熱弁をふるってみても、ノートを取ることが精一杯の感じで、半ば戸惑っていたというのが実態である。

今年は食物の消化の授業に、実験を取り入れてみた。準備に多少の時間をさきましたが、目で見てその変化を知り、自主的にその反応状況を観察し、メモする生き生きした生徒たちの姿にあらためて、体験学習の重要性を知らされた。

また、食品の鮮度鑑別の実験も二例ほど試みた。教師の準備さえよければたいして時間をさくこともなく、生徒も手順よく動き効果があがったように思う。

久しぶりの研修で学生に返ったような気分で、いつもと立場が逆なだけに生徒の気持ちも分かり、有意義な三泊四日の研修であった。

(安達東高等学校教諭 菅野節子)

 

・中学校技術・家庭講座(男子)

「わかる授業」、「楽しい授業」とかを耳にするが、一人一人の生徒の学習意欲や学習の耐性、適性、能力などの諸問題があり「わかる楽しい授業」はなかなか困難である。だからこそ、生徒とともに歩み成長しようとする教師の努力する姿が大切かと思う。

昨年度、教育センターでの技術・家庭講座を受講した。転任後三か月で、「生徒が授業にのってこない」ことで悩んでいる時だったので、この講座は私にとって救いであり、大きな収穫でもあった。また、そればかりでなく、「自作教具による授業の展開」への指針ともなっている。

この自作教具による授業によって、生徒の学習意欲が喚起され、また、私自身の体質が改善されつつあるように思う。

できるだけ下準備を整えて授業の中で製作することによって、生徒の参加意識を強めている。物によっては、大きなベニヤ板を使ったり、グループ別に実験用教材、教具の製作をしたりしながら、共同の志向性を生かした、より発展的な授業をと思っている。

(郡山市立湖南中学校教諭 西田仁)

 

自作教具を使っての授業

 

自作教具を使っての授業

 

おわりに

家庭、技術・家庭科では、基礎的、基本的な技術の修得を通して、生活と技術とのかかわりあいを正しく理解させ、生活の見方や、考え方、更には行動のし方を身につけさせることをねらいとしている。

そこで、指導する領域も広く、内容的にも深いものがある。そのうえ、指導者の専門的な技能が要求されるのでそれに即応した、密度の高い研修が当然必要となる。

本講座においても、教科指導の専門的知識・技能の向上とともに、明日からの授業に直接役に立つ、題材、教具の開発など、今後十分に研究して講座内容の充実を図っていきたい。

 

 

 


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