教育福島0058号(1981年(S56)01月)-026page

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これらは、三校の児童たちにとって楽しい交流であり、研究成果も上がって教師たちも子供たちの望ましい成長をお互いに喜びあうことができた。

四 交流後の父兄の反響

(一) 交流教育について父兄の意識調査

 

学年
内容%
1年2年3年4年5年6年
非常に成果が上がっている193027373627
かなり成果が上がっている485258455553
かえって逆効果だ000000
どちらとも言えない33181517820

 

相手に対する思いやりの心が育ち、障害児に対する理解が深まったという意見が過半数を占めている。また、思いやりを単なる同情でなく、同じ人間として理解し、共感できる感情としてとらえている意見が数多くみられたのは、交流教育について父兄の認識が深まってきたためと考えられる。

(二) 父兄の感想から

何回か交流を重ねるたびに、子供は盲、聾学校の児童たちを○○君と、まるでクラスメートのように親しく名前を呼んでいました。今年度はお互いのコミュニケーションが行われ、子供は障害児のすばらしい面を認めていったのです。それにも増して、盲学校、聾学校との交流を通して、どのようなハンディキャップを背負っていても、本人の努力と周囲の人たちの温かい励ましの中で、それを立派にのりこえて行くという障害児の姿勢を見て、子供は多くの事を学んだように思われます。

こうした交流の輪を地域ぐるみ広めて行き、ハンディを背負った児童と健常児が、自然にうちとけあい、共に理解し合い、協力し合って、社会生活を営んで行けるよう、今から一貫した交流教育をすることが大切だと思っています。

 

スクラムくんで

 

スクラムくんで

 

五 おわりに

将来、障害児も健常児と同じ仲間として行動を共にしていかなければならない。二か年の交流の中から、盲学校聾学校の児童が一緒にやっていけるという見通しを持つことができた。

この交流の中から人が仲よくつながりあい、人間が人間の価値を認めあうことの大切さを知ったのは、交流教育のすばらしい成果であった。これからも、可能な範囲で障害児との交流を深め、教育効果を求めていきたい。

 

交流教育の実践2)

 

郡山市立郡山第二中学校

 

本校は、昭和五十四年五月に心身障害児理解推進校として文部省の研究指定をうけた。養護学校教育の義務制施行に即応するために、心身障害児に対する正しい理解と認識が必要である。新学習指導要領では、道徳教育において人間の生き方や道徳的実践力を強調しており、特別活動では、集団の一員としての自覚や、協力してよりよい生活を築こうとする自主的実践的な態度の育成をめざしている。また、老齢化社会になりつつある現状を考える時、人間の相互理解や連帯意識の高揚等が特に必要であり、本主題の研究の意義は大きいといえる。

一 研究のねらい

この研究をすすめる上で何をねらいどのような状態の生徒になることを期待するのかを明確におさえておく必要を感じ、次のようにまとめた。

「視野を広め、人それぞれの個性や立場を重んじ、他に対する思いやりの心を持ち、温かい人間愛の精神を深め、豊かで幸せな社会を築こうとする実践的な態度を育てる」。これを、更に具体的に次のように整理した。

(一) 世の中には、いろいろな境遇の人たちがいることを知ること。

(二) 特殊学級や養護学校(特に肢体不自由児)の実態を知ること。

(三) 相手の考えや立場を尊重し、相互理解につとめようとすること。

(四) 同情心やいわれのない優越感や劣等感をもつのでなく、同じ人間として接すること。

(五) 望ましい基本的な行動様式を身につけること。

(六) 正しいと思うことや、よいと思うことを積極的に実践すること。

(七) 自分一人だけでなく、みんながよくなるようにつとめること。

二 研究をすすめる上での基本的な考え方と実践事項

心身の発達の著しい、しかも、不安定な一面をもつ中学生を対象とする場合、皮相的な取り扱い方ではなく、また、性急に交流そのものだけを考えるのでもなく、生涯教育という長い過程の中での重要な一時期としてうけとめ現実の諸条件の中で、考えられうるすべての方法を駆使して取り組もうとした。すなわち、直接交流と間接交流を通し、更に、学校教育の全領域において、それぞれのねらいに即した指導を強めることにより、心身障害児の理解と認識を深めようとした。

(一) 直接的には、教師と生徒会役員や学級代表の生徒が、養護学校を訪問し、肢体不自由児の学校生活のようすを見学し、全校集会や学級会活動等の時に、在校生へ報告した。

また、作文や写真等を掲示した。

 

 

 


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