教育福島0058号(1981年(S56)01月)-035page

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八月から十月の二か月間で、二クラスの平均で言うと習熟度が五〇・五パーセントから七十八・九パーセントに伸びていることがわかる。(ただ約一年後の今年の十一月、この文章執筆の参考のために、二年生になっている彼らに同一問題を課した結果、七十三パーセントのできであった。授業でも機会をとらえてはくり返し指導しているのだが、文法はとかく忘れやすいということ。反復訓練の必要性を示す好例であろう。)

次に、特に困難でまちがえやすいものとしては次のようなものがある。

問(4)八つ渡せるによりてなむ(下二型の「る」と混同しやすい。)問(10)劣るまじけれ(過去詠嘆の「けり」としてしまう。)問(15)ありなむや(二つの助動詞と気がつかない。)問(16)知らなむ(「なむ」の接続まで考えない。)問(26)夜半にや君が一人越ゆらむ(係助詞を見落とし「終止形」とする。)問(27)見せ給へらむに(「現在推量」などとしている。)問(31)心もとなく覚えしか(前に「こそ」がないのに過去の已然形などとしている。)等々。

三 着実な伸びを見せた国語力

本校の一年次国語は五単位しかなく同じ進学校である他校の七単位や六単位に比べて少ない。外部模試で成績を比較してみても一年次ではかなりの差があり、県で四、五位にとどまっていた。私は生徒に対して現在の努力を継続していく限り成果は必ず出てくる、それを信じて頑張れと事あるごとに述べてきた。一年次の終わりから二年次の前半にかけて成績は着実に上昇し、今年九月末に行われた県下合同学力テストでは、平均点が県下の一年生で一位となり、成績優秀者も数多く出すことができた。継続努力した生徒を高く評価したいと思う。

 

おわりに

私のとった指導方法は、決して最良のものとはいえないし、改善の余地も多くある。また、労力的にも大変なエネルギーを必要とする。授業という限られた時間を考えてみると、生徒にマイナスの部分を与えることにもなりかねない。が、指導の根本にあるものは情熱であることを思えば、少なくとも、生徒の持っている学ぼうとする真剣な心を、更に燃焼させてやるために、教師自らも真摯な態度で教室に臨まなければならないと自分に言いきかせている。この心構えだけは忘れることのないように努めたいと思う。

 

表1 第1回一斉テスト、追試結果 (昭和54年度)

区分実施日受験者合格者不合格者
一斉テスト5/21474人171人303人
第1回追試5/2830322380
第2回追試6/2805030
第3回追試6/630219
第4回追試6/9981
第5回追試6/13110

(注)追試は、一斉テストと同範囲。ただし問題はその都度変えた。

 

表2 第1回助動詞識別習熟度調査

1回昭和54年8月11日(土) 2回昭和54年10月11日(木)

調査対象1学年10学級のうちA、Bの2クラス

区分A(1回目2回目)B(1回目2回目)
35点〜30点 19人3人13人
29点〜25点7人3人2人11人
24点〜20点6人5人6人3人
19点〜15点10人2人7人3人
14点〜10点7人2人2人1人
9点〜5点2人1人1人1人
4点〜0点    
32人32人32人32人
平均18.3点28.4点17.2点26.9点
52%81%49%77%

 

問題番号 問題内容 A(1回目 2回目) B(1回目 2回目)

1下二動語尾53%91%47%84%
2自発「る」91%94%69%97%
3尊敬「す」69%81%63%75%
4完了「り」38%78%31%69%
5過去「き」69%88%63%97%
6四段動語尾41%84%41%72%
7詠嘆「けり」78%84%84%97%
8シク形72%97%50%84%
9シク形69%97%57%84%
10打消推量「まじ」38%78%31%66%
26現在推量34%63%28%53%
27完了(存)+推3%56%12%31%
28断定「なり」50%78%75%81%
29推定「なり」19%75%28%66%
30伝聞「なり」25%75%28%63%
31過去+助詞9%63%6%50%
32過去「き」69%69%12%94%
33ナ変「往ぬ」19%63%31%56%
34完了「つ」53%66%60%88%
35完了「ぬ」66%59%63%91%

 

 

 

 


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