教育福島0059号(1981年(S56)02月)-070page

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無リン合成洗剤のおすすめ

 

はじめに

県内の河川、湖沼、海域の水質は、水質保全対策の充実、強化等によって年々良化の傾向にありますが、一部の内湾及びダム等においては、富栄養化が原因とみられる「すす水」現象(赤潮の一種)及び飲料水の異臭味障害等の現象があらわれてきております。

本県では、富栄養化現象の原因物質の一つであるリンを削減し、富栄養化の進行の防止と環境水質の維持・改善に資することを目的として有リン合成洗剤の使用を抑制することになり、合成洗剤対策推進要領を定め、昨年六月一日からこの対策を実施しております。

合成洗剤対策推進要領の内容

私たちの、きれいな水、きれいな環境を守り、後世に受け継いでいくためには、一人一人の自覚と努力が必要です。

既に、この要領の実施に当たって、各関係機関の協力を得て合成洗剤対策を実施してきましたが、更にこれらの対策を推進していくため、御協力をいただく必要があると思います。

推進要領の内容は、次の六点からなっております。

(1) 県の施設においては、リンを含む合成洗剤を使用しない。

(2) 市町村、国の出先機関及びその他の公共機報等に対し、その施設においては、リンを含む合成洗剤を使用しないように協力を求める。

(3) 県職員に対し、その家庭においてリンを含む合成洗剤の使用を自粛するよう求める。

(4) 県民に対し、リンを含む合成洗剤の使用を自粛するよう啓蒙する。

(5) 各関係機関、県職員及び県民に対し、洗剤全体の適正使用について指導、啓蒙等を行う。

(6) 洗剤の製造又は販売業者に対し、無リン合成洗剤の製造又は定置販売の促進等供給体制について協力を求める。

富栄善化対策として合成洗剤中の「リン」が何故問題にされるのか

日常、洗たくに用いられる合成洗剤は、洗たく排水に含まれて下水に流れます。

下水の中には、洗たく排水やし尿浄化槽の排水その他諸々に由来するリンが含まれており、これが公共用水域に流入することにより環境水質の栄養成分が高くなって、水草や藻やプランクトンなどの繁殖に都合が良い状態になります。

このように、窒素やリンなど水中の栄養成分が多くなることを富栄養化といいますが、栄養成分が多くなりますと、これら水中植物等が異常繁殖したり、やがてこれが死滅して有機汚濁物質となって、水質汚濁の原因となるわけです。

このようなことから、合成洗剤中のリンが問題にされるわけです。

無リン洗剤購入のために

家庭用品品質表示法では、必ず成分の欄にその成分と含有の割合を表示することになっております。

洗剤を購入するときは、よく表示をみてリン(りん酸塩)を含まないものを選びたいものです。

洗剤の適正使用

洗剤の使い過ぎは、水質汚濁を進める要因となります。一般的に洗剤は適正量よりも多く使う、いわゆる使いすぎの傾向があるといわれています。

これは、正しい使用量を確かめないで洗剤の箱や袋から直接目分量で入れる人が多いためです。

洗剤の箱や袋には、必ず使用量の表示がありますので、自分で使用している洗剤の適正使用量をあらかじめ確かめ、適正に使用する習慣をつけることが大切です。

 

●合成洗剤表示の例

 

 

 

 

 


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