教育福島0060号(1981年(S56)04月)-046page

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ふるさと探坊

 

県指定重要文化財(建造物)

高蔵寺三重塔 一棟

 

各層方三間(初層 方三・七四メートル、第二層 方三・二一メートル、第三層方二・六四メートル)、総高約十三メートル、銅板ぶき(もと板ぶき)。

高蔵寺は、寺伝によれば大同二年一八〇七)徳一大師によって開かれたといわれ、石城三十三観音第六番の札所であったと記されるが、中世の改修を経て、江戸時代中期には承隆和尚によって、塔と観音堂が現在地に再建された。

相輪の伏鉢の左面には「安永神歳七月」の刻銘があるところがら、安永三年(一七七四)ごろの建立であろう。

方三間ながら初層三・七四メートル四方の小塔で、二、三層には回縁や勾欄を付さないなど省略部分も目立っ遺構である。

斗供は、三手先で中備えを省き、軒は二重の繁唾で平行とするなど全般に和様が目立つ。正面は中央一間を桟唐戸とし、両脇に花頭に似た窓を配し、側面の中央に引戸を付するほかは、すべて板壁で囲む。

初層内部には隣接の観音堂廃止の際に移設したとみられる坐像安置の厨子がある。この厨子の唐破風上で懸柱が切断されて止まり、また厨子の破風を初層の梁が貫くなどの改造がなされている。頂部の相輪は九輪がとくに大きく変化ある景観を呈する。

 

所在地 いわき市高倉町字鶴巻  所有者 高蔵寺

所在地 いわき市高倉町字鶴巻  所有者 高蔵寺

 

 

 


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