教育福島0060号(1981年(S56)04月)-047page
県指定重要文化財(彫刻)
木造宝冠釈迦如来坐像 1◆
像高 四十三・二センチメール。
ヒノキ材、寄木造り、玉眼、彩色の小型像である。美しく三段に結い上げた宝讐には、金属・性の宝冠、侵略をつける。面部は卵形で眉をよせ、目を吊り上、げて、生々しい人間的な表現をとる。耳朶は割合い太く張りがある。
なで肩、猫背で腹帯をつけるなど、後期宋朝様式の影響を歴然と残す。おそらく護真寺開山の観応二年(一三五一)前後(南北朝時代)の造顕であろう。ことに特徴的なのは、両袖、裾先を長く垂らす垂下様式になっていること、衣ひだには菊花、唐草、鳳鳳等の胡粉を盛り上、げて作った模様がついており、装飾性が強いことである。鎌倉からの移入であることは明らかである。
なお護真寺は、臨済宗円覚寺派に属し、須賀川の普応寺末である。
したがって、寺伝では、本像を法界大日如来と称しているようであるが、当時禅宗が華厳哲学の影響を強く受けていたことを勘案し、華厳経の教主毘盧舎那仏、すなわち「華厳の釈迦」(宝冠釈迦)と解した方が妥当である。この種の仏像は中通りには見あたらない。その意味で貴重である。
所在地 岩瀬郡長沼町大字横田字北の後 所有者 護真寺