教育福島0061号(1981年(S56)06月)-012page

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て、教師間で、互いに連絡をとり、協力していく方向が望めることになる。

児童生徒が教師間の生徒指導に不一致を感じないようにするためには指導の流れの中を貫いている基本的な理念と具体的な重点方針を、全員がよく理解しておくことが大切である。

 

(4) 研究・研修の過程を生かすこと

 

生徒指導について、各教師が理解と関心を高めるためには、例えば生徒理解に関する検査、面接の技法や教育相談、最近の問題行動の傾向などについて常に新しい情報を収集しそれらに関する研究・研修を行う場を確保することが大切である。

登校拒否の場合など、過去に成功した指導事例を基に現在の事例を処理しようとしても、効果が上がらないことが多い。このような場合、焦りと不安が生じ、他の教師へのおもわくなどもからみ、無力感に陥るまじめな教師も生じてくるおそれがある。

このような問題点の解決のためにも研究・研修の機会を設け、より一層の共通理解を深めていくことが望まれる。

 

生徒理解の実践1)

 

郡山市立郡山第五中学校 教諭 中瀉昭雄

 

一 はじめに

 

本校が昭和五十五年度から二か年にわたり、文部省生徒指導研究推進校に指定されてから今日まで、一年余の経過をみた。

本校の研究部門は、○学業指導部○学年学級経営部 ○奉仕活動部であり、これらの研究活動の充実と、本校生徒の意識の多様化に指導の対応を図る意味で、前記三部門のほか、教育相談活動部をもうけた。

以上四部門のうち、生徒理解活動の中核となる教育相談活動部では、日常における教師と生徒との好ましい人間関係の醸成をねらいとして活動をしてきた。

生徒指導は、いうまでもなく、生徒一人一人の人格を最も望ましい方向に完成させるための援助・指導である。

生徒はそれぞれが、個性的存在であり、独自的な存在である。

したがって、生徒それぞれの人格をより望ましい方向に完成させようとするとき、それは個人のもつ特徴に従ってすすめられなければならない。

そのためには、生徒の個性・特徴や傾向を理解し、把握することを前提として生徒の立場に立っての教育を推進しなければならない。

生徒理解によって生徒の長所を更に伸ばし、問題点をも明らかにすることができるからである。

そして、生徒理解は、生徒指導の基盤になるものであるから、それは科学的で正確なものでなければならない。

本校では、生徒指導における生徒理解の重要性と、従来の活動を更に充実させるため、生徒理解の方法や技術を習得することに努め、状況に応じ、適宜工夫を加えながら実践的に研究することにした。

以下、これら活動の経過のまとめと今後の活動の一端を述べてみたい。

 

二 本校における生徒理解活動の実践

 

(一) 目標

 

1) 生徒一人一人の自己理解のための援助指導を行い、自己の問題点の解決のために積極的に取り組む態度を身につけさせる。

2) 生徒個人のもつ悩みや生活の不適応要因を解決して、楽しく、生きがいのある生活ができるよう援助する。

3) 将来、社会において、正しい自己実現ができるよう援助する。

 

(二) 方針

 

1) すべての生徒を対象に全職員が生徒理解のために相談・観察・対話活動に当たり、あらゆる場と機会をとらえて教師と生徒の心の触れ合いを強めて活動する。

2) 目標達成のため四本の柱(表1)を軸に活動をもり立て、援助指導を積極的に行う。

3) 学級担任の行う活動に重点をおくが、担任外の活動も積極的に推進する。

4) 活動の記録並びに情報交換、資料の整備活用に力を入れ、効果的な活動の推進に努める。

5) 文部省生徒指導研究推進校の指定にともない、他研究部門との連携を密にした活動の推進に努める。

 

三 生徒理解のための方策

 

(一) 生徒の望んでいる相談内容を積極的に取り上げて活動を展開する

 

1) 昨年度における相談活動についての生徒の反応(表2)

この結果にあらわれたように、学級担任と担任外の活動の協力関係の重要さや、生徒の望む相談内容を考えて、今年度の生徒理解活動や教育相談活動の計画を策定した。

 

 

 

 

 


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