教育福島0061号(1981年(S56)06月)-027page
・「教材で教える」という考えに立脚し、教師の創意工夫を生かした指導ができる。
2) 年間指導計画作成についての配慮
年間指導計画作成上の留意点に示されている内容に従って、指導計画を作成することはもちろんであるが、特に次の点について配慮した。
ア 学習指導要領に示された目標・内容・重点事項の三点を重視して位置づける。
イ 学習指導要領の各学年の内容を具体化し、確実に身につけなければならない基礎的・基本的内容及び系統的・発展性を十分吟味する。
ウ 題材・教材内容を見通して、指導の重点化を図る。
エ 「教材で教える」の観点から、児童の実態に基づいて、題材と教材との関連を十分考慮する。
オ 創意を生かした時間の音楽活動を計画的に実践するために、「月の歌」「音楽集会における全校合奏」の位置づけとする、
(二) つみ上げ学習について(資料2)
表現力を高めるための正しい導入指導や系統的・発展性を考え、効果的なつみ上げができるように学習を進めればより学習の抵抗がなく、より楽しい表現ができるであろうと考えた。
そこで、年間指導計画で指導目標や学習全体の見通しを持ち、更に学年の発展がひと目でわかる表現指導のポイントとして「つみ上げ学習」を作成し指導資料として活用した。
今後、実践を通して、充実した指導資料に改善したいと考えている。
(三) 指導の工夫
1) 指導計画の改善
学習指導案における、項目「六、指導計画」については、主題構成による題材設定の年間指導計画により、教材が複数となり、従来の指導計画では、適切でなく改善を図る必要が生じた。
複数教材を一単位時間、一題材の中でどのように計画的に学習を進めていくかを検討した。
〈指導計画の改善により、明確になった事項〉
・各教材を視覚的に数量化でき、授業が進めやすい。
・一単位時間における学習内容を位置づけ、発展的にとらえられる。
・題材に指導段階を設けたため、学習の見通しが明確に把握できる。
2) 重点事項の指導
学習指導要領の各学年目標の三項目のうち(2)の「能力」については、低・中・高それぞれ、次のブロック研究テーマのもとに指導の重点化を図った。
・一、二年「リズムにのって楽しく表現する指導」
・三、四年「旋律のまとまりを感じとり、進んで表現する指導」
・五、六年「和声のひびきの美しさを感じとり、豊かに表現する指導」
テーマにより各ブロックで研究を深めたところ、低学年では、身体表現に合わせて歌う力が高まり、中学年では鍵ばんハーモニカ・リコーダーによる旋律がじょうずにできた喜びが日記に書かれ、高学年では、二重唱の力が増し、自主的な表現活動をする児童が見られるようになった。
(四) 創意を生かした時間の音楽活動
音楽を愛好する児童を育成するためには、週二単位時間のみでは不十分であると考え、毎日の生活の中で音楽に親しみ、音楽科の授業との循環によって、より豊かな音楽愛好心を育成できるよう、創意を生かした時間の中で次のような音楽発表の場を設けた。
1) みんなの時間における音楽活動
2) 毎週水曜日の音楽集会
3) 朝の会・児童集会の音楽活動の導入
4) 校内放送での名曲鑑賞の導入その中でも、みんなの時間の「学級歌をつくろう」の活動では、全学級がクラスの歌をつくり、毎日の生活の中で歌われ、望ましい学級づくりに大きく役立つた。
四 今後の課題
(一) 年間指導計画とつみ上げ学習の内容については、相互の関連を図りながら、改善していきたい。
(二) 授業研究は、低・中・高のブロックを中心として、研究を深めてきたが学年重点事項についての研究が不十分であるので、更に研究を深めていきたい。
(三) 創意を生かした時間の音楽活動の四つの研究分野が、それぞれが独自に研究を進めたきらいがあるので、今後相互に関連を図り研究を深めたい。
(年間指導計画表・六学年及び指導計画表・七時間分を省略した。)
資料2) つみ上げ学習(3年)