教育福島0062号(1981年(S56)07月)-010page

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しにとどまっている。

 

(四) 児童・生徒の意識調査の実施

 

児童・生徒の意識と実態について、その現状と問題点を把握し、資料として活用することを目的とし、質問紙法による調査を行い、その結果を「子どもたちの生活と意識」の小冊子にまとめて刊行した。

調査対象は、市内の小学校、中学校について地域や学校規模等を考慮しながら、併せて十九校を抽出し、小学六年、中学二年各校二クラス、高校については市内のすべての全日制十六校とし、合計一、八五〇人について調査を行った。調査内容は、生活領域を中心に、主として児童・生徒の家庭生活、学校生活、余暇、社会観や価値観、悩みや心配ごと、友達、性についての意識、問題行動の項目について質問紙を作成し、学級会やホームルームの時間に調査対象校の協力を得て調査を実施した。

調査結果は小、中学校については市教育委員会青少年課が、高校については地区高校生活指導協議会がそれぞれ集計を行い、それをもとに生徒指導推進会議が最終的に考察と分析を行った。

なお、調査内容や項目等の作成は、推進会議の中に実態調査小委員会を設けて企画立案に当たった。

この調査の特色の一つは、同じ設問について、小学校、中学校、高校の児童・生徒が回答し、その集計結果の比較検討の便を図ったことと、その考察と分析を加えてあることである。項目によっては、児童・生徒の発達過程の特徴や問題点が鮮明に現れていたり、家庭や学校、地域社会における健全育成上の問題点を示唆しているものもあり、そこから地域ぐるみの生徒指導上の課題を探る端緒となり得るものもある。その中から目立つものとして次のような点があげられる。

1 親の理想像について、五つの選択肢から一つ選ばせる設問では、厳しくいわないで見守る親や、なにごとにも自由にさせる親と対比させると、厳しくする親を選んだものがおよそ七割を占め、圧倒的に多い。子供の気持ちを理解した上でという条件つきではあるが、子供たちは親に厳しさを求めているといえよう。

2 学校外の生活でもっとも好きなことを七つの選択肢から一つ選ばせる設問では、年齢が進むにつれて、ステレオなど部屋に閉じこもって余暇を過ごす個人生活中心の風潮がうかがえる。しかし、他の設問では年齢が進むにつれて友人の数は多くなり、クラスメートよりも同じ通学の仲間関係、地域の仲間関係が強くなり、悩みや心配ごとの相談相手として友達を選ぶものが圧倒的に多くなる。

余暇の活用と健全な仲間関係の育成の指導が地域社会の健全育成上の課題の一つと考えられよう。

3 現在の社会から強く感じることを八つの選択肢から選ばせる設問では、生活物資が豊富にあることを認めた上で、小・中学生ではそれを生活の安定と結びつけている傾向があるが、高校生ではそれが欲求不満と結びつけられている傾向が強い。

4 社会生活において、どのように暮らし、どう生きていくかについて、将来への展望を含めて五つの選択肢から一つ選ばせる設問では年齢が進むにつれていわゆる社会生活型が個人生活型に押されて先細りになっている。小学生でほぼ半数、中学生で約四割が社会生活型を志向していることを地域社会の大人は、十分認識すべきであろう。(高校生は小学生のほぼ半数)

5 「家出しよう」と思ったことの有無について、強く思ったことがある。ふと思ったことがある。ない。の三つの選択肢から選ばせる設問では、年齢が進むにつれて、「ある」との回答が多く、女子の率が高い傾向を示している。特に高校生の女子では八割があると答え、強く思ったことがあるが二割を占めていることが目立っている。

どのようなときにそう思ったかの設問では、一位に小・中学校では親にひどくしかられたとき、高校生は家庭がおもしろくないときがあげられている。

6 校則に違反した服装や頭髪の技巧、喫煙や飲酒について、高校生自身の意識をみる設問では、それらを行う生徒個人の問題として、規制すべきでない、気にならないなどの回答が圧倒的に多く、関心の希薄さを示しており、順法精神の弱さと世代を同じくする高校生たちの連帯感やよい意味での仲間意識の乏しさがうかがわれる。服装指導や喫煙防止の指導がいまや学校だけ、あるいは家庭だけでは困難であることを示していよう。

 

(五) 生徒指導推進地域としての活動の成果と今後の課題

 

生徒指導推進地域指定の趣旨は、家庭・学校・地域社会が一体となり、共通理念に基づいて地域ぐるみの生徒指導を推進することにあるが、学校をとりまく家庭、地域社会、更に関係の諸団体、諸機関が相互の連帯を強め、地域をあげての指導体制を確立することが重要である。

それには、次の三つの観点に立った連携を強化すべきであろう。

1 家庭や地域社会の教育機能の回復を目指す連携

在学青少年の健全育成を目標としていることは共通していても、家庭・学校・地域社会にはそれぞれ固有の役割と機能があり、相互

 

 

 


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