教育福島0062号(1981年(S56)07月)-015page

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基本とし、学力・余暇・進路等の問題について実態を明らかにし、研究主題に迫ろうとした。なお、家庭との連携の重要性に基づき、保護者の意識を調査し、更に卒業生の意識も調査した。

二回の調査結果は、特に顕著な変化はなく、その概略は次のようである。

「悩みの調査」で最も高い数値を示したものは「学業の問題」、次いで「将来の問題」で約八五%を占める。

「学業」については、不得意科目がある、予定通り勉強が進まない、効果的な勉強のし方がわからないなどの悩みが多い。これは、基本的な学習方法が確立しないまま小・中学校を過ごし、現在に至ったことによるものと思われる。

「将来」については、全体の傾向として、学力や適性など自分の資質の問題と結びつけた不安や疑問を強く抱いている。将来に対する考え方は、学年を追うに従ってより具体的になり、漠然とした不安は少なくなる傾向がある。将来に関する悩みは、希望が具体化するにつれて、自己の学力不足や特技を持たないことなどの能力の問題として顕在化し、その比重を増している。

「進路調査」によると、高校進学の動機として、七五%の生徒が、将来の進路選択に有利になるという考え方を示している一方、一六%の生徒は全く無目的なまま入学している。入学後の満足度は全体で三四%で、学年が進むにつれて高くなっている。進路計画については、三年生はほとんどできているが、低学年ほど取り組みが遅い。相談相手は七三%が両親である。一年生からの継続的指導と個別的指導の充実が要請される。

「学力」については、「数学計算力のつまづき調査」を全校生に実施した。その結果、学力検査で数学が一〇点以下で入学した生徒については、学年進行による基礎学力の向上はほとんど認められない。早期につまずきを把握分析し、特別指導等により、学力不足による学校不適応生徒をなくす必要がある。

これらの調査を通して、無気力・無関心などの面を持つ生徒もかなり存在する事実が浮かんだ。また「就職する」こととは「勉強しなくてもよい」「好きなことをして高校生活を送ればいい」ことだといった、安易な日常生活の姿勢がうかがわれる。したがって、進路指導を進める中で、いかにして自己を見つめさせ、職業観の確立を図り、意欲的な生活態度を養成するかが課題である。

 

(二) 指導の実践

 

生徒指導上、ロングホームルームの持つ意義は大きく、その効果的な活用を図ることが大切である。この観点から、進路指導を計画的継続的に進めるために、年間計画に基づいた各ホームルームでの指導の展開を図った。

年間計画(表1)の策定に当たっては、進路指導部とホームルーム担任とが十分に協議して、学年ごとの目標を設定し、次の三点から指導内容を精進した。

1) 年間指導計画には、一貫した個人及び集団の一員としてのあり方を盛り込み、各教科の学習活動、特別活動への積極的参加と、学習面での学校・家庭への適応を指導する。

2) 高校生活の意識を個別的に理解し、常に自己を厳しく試練の場に立たせる生き方を指導する。

3) 殺到する情報を前にして、皮相的常識的な理解に陥らず、適切な自己指導のもとに進路を選択できるようにする。

ロングホームルーム進路指導年間計画表は、別表のように作成し、これに基づいて、一学年十一時間、合計三十三時間実施することにした。

指導の実践と評価については、次の事項に留意して進めた。

1) ホームルーム記録簿、ホームルームノートを活用する。

2) 個人面接を充実し、絶えず目的意識の高揚を図る。

3) ホームルーム指導簿を活用する。

教師の指導仮説が、指導の実践を通してどのように検証されたかを記録し、次年度や他のホームルームにも活用されるように整備充実する。

(表2)

 

真剣なロングホーム・ルーム

真剣なロングホーム・ルーム

 

ホームルームにおける個別指導

 

進路については、多くの生徒が悩みを持っており、三年生では八○%、一・二年生では過半数の生徒が相談を希望しているので、次の四点を柱として進路指導の充実を図った。

1) 相談の中心はホームルーム担任

2) 担任、生徒、保護者間の連携強化

3) 進路指導部による相談の充実

4) 学年事例研究会の開催

相談は、別掲図の流れに示すように二つの場面を設定して実施した。

○ホームルーム担任による面接相談

全生徒を対象に、六月に相談月間を設け、生徒に関する資料を整えて、毎日放課後二名ずつ面接を実施した。その際、共通の相談項目を設け、各ホー

 

 

 


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