教育福島0062号(1981年(S56)07月)-017page

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高校生活の充実とひいては生涯目標の樹立に資する指導の模索から出発したものであるが、問題のない生徒の放置=教育喪失という悪しき流れを是認してはいけないという共通理解に立ち、問題を意識していない生徒には問題を与え、問題を持つ生徒には解決の手をさし伸べようという基本的な態勢は確立された。しかしながら、本当に動き出すのはこれからであり以下のような厳しい課題を持ったことを確認した。

(一) 生徒の問題意識を喚起する。

(二) 総合的援助者としての教師の継続的な指導を実践する。

(三) 教師の指導法の研修を深める。特に小集団の持つ相互作用に注目した指導を研究実践していく必要がある。

(四) 生徒の生活経験の貧弱さを克服し生徒の自己同一性の確立指導の充実を図る。

(五) 指導資料の整備充実を図る。

(六) 基礎学力の向上に努める。

(七) 家庭との連携を強める。

生徒の実態を的確に把握し、それに対応した指導をすることは極めて大切であり、そのためには、従来の指導のあり方を見直し、改善していくことが必要である。また、問題のある実態や意識については、更に究明し、早期に適切な指導対策を講ずる必要があろう。

研究実践の実証を得るには、ある程度の時間が必要である。今後とも研究をより深め、息ながく継続して実践していく中で、生徒との接触を密にした指導の成果を期待するものである。

 

高校生活に意欲を持たせるための生徒指導

 

一 川口高校について

 

川口高校は、美しい自然に恵まれた奥会津に所在し、生徒数二四二名(六学級編成)の小規模普通高校である。

生徒は純朴であるが、視野が狭く、積極性に欠け、意欲に乏しい面がみられる。地域は典型的な過疎地帯で、この数年、志願者全員が入学する状態で、生徒の学力差は大きい。また、進路は例年、約一〇%が進学で、大半の生徒は地域外に就職している。

 

二 研究の経過と概要

 

(一) 第一年次(昭和五十四年度)

 

1 研究の主題と目標の設定

生徒の実態に基づき、「高校生活に意欲を持たせるための生徒指導」を主題とし、この主題に迫るための実践の柱として、次の三つの目標を設定した。

(1) 目的意識を持たせた上での能動的学習指導の展開

(2) 自己実現のための進路選定に対する指導の充実

(3) 全人教育の立場から部活動を中心とした生徒会活動の奨励

 

2 研究の組織と計画

(1) 研究組織

表1のような研究推進体制を組織し、全職員が研究実践に当たるようにした。

 

表1 研究推進体制

表1 研究推進体制

 

(2) 研究計画

第一年次

1)共通理解による研究体制の確立

2)基礎調査による生徒の実態把握

3)実践の具体案の策定

第二年次

1)実践案による実践活動

2)再調査による実践結果の確認

3)次年度以降の教育計画の策定

 

3 基礎調査による生徒の実態

(1) 意識調査から

1)高校進学の目的や川口高校入学の動機が消極的である。

2)当初他校を希望し最終的に川口高校に入学した生徒が多く、それらの生徒の当初の志望校は、特に男子の場合、大半が都市部の職業高校である。

3)家庭での学習習慣が身についていない。

4)教師に対しては、「わかる授業」「よき相談相手」「進路指導の充実」などの要望が多い。

(2) 悩みの調査から

 

 

 


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