教育福島0062号(1981年(S56)07月)-019page
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ましい変容と考えられる。
2 進路に関する悩みの調査から
二年男子では、「自分の適する職業がわからない」女子では「社会に適応できるかどうか不安である」が多いが、三年では、男女とも「自分の適正」についての悩みは減少し、「適応に対する不安」が増加している。これは学年進行に伴い、自己理解は深まるが、進路決定を目前に控えた現実的な悩みを強く抱く結果と考えられる。
(三) 生徒会・部活動委員会
1 生徒会活動
再調査の結果、好ましい変容は認められなかった。これは校舎改築に伴う仮校舎使用という状況の中で生徒会行事の縮小を余儀なくされたこと、生徒会室を持てなかったことなどによるものと考えられる。
2 部活動
重点目標である「目的を持って積極的に参加し活動する」が大幅に増加した。
これは仮校舎住いという悪条件にもかかわらず、「効果的な練習法の検討」「教育相談的手法による教師・生徒間の信頼関係の醸成」などに全校挙げて取り組んだ結果と考えられる。
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宿泊訓練を終えて(磐梯青年の家)
四 研究実践の成果と評価
以上のような研究実践がなされたわけであるが、本研究のまとめの意味でその成果と評価について述べることにする。
(一) 生徒の高校生活への意欲の向上を促すことができたこと
具体的には、家庭学習の状況が極めてよくなっていること、自己理解が深まり適正な進路選択がなされるようになったこと、更に部活動に積極的に参加する生徒が増加し、全国レベルの大会で活躍する部もみられたことなどである。
これらの結果として、入学の動機が消極的であった生徒たちに高校生活への意欲を向上させ、満足度を高めることになったものと考えられる。
これは本研究の主題であり大きな成果として評価できるものである。
(二) 全職員の共通理解に基づく指導体制が確立したこと
このような研究は、ややもすると一部の教師によってなされる場合が多いが、川口高校では、小規模校の特性を生かし、全職員が役割を分担し、連携を保ちながら全校一丸となった研究実践への取り組みがみられた。
指導体制の確立は全ての学校の課題であり、それは実践を通して初めて達成されるものであることを示したものであり大いに評価されるであろう。
(三) 中学校との連携に先導的試行がみられること
現在、高校への進学率の上昇に伴い、中・高連携による一貫した生徒指導の必要性が叫ばれている。川口高校では、関係中学校が地域の三校であるということもあり、中高間の相互で実施し、その中で生徒についての情報交換だけでなく、双方とも授業を公開し教科指導面でも理解を深め合うなど幅広い連携がみられた。
(四) 家庭や地域社会との連携が一層強化されたこと
川口高校はもともと地域性の強い学校ではあるが、PTA組織を改め「方部別保護者懇談会の充実を図り、家庭や地域社会との連携強化に努めた。また、この研究実践への取り組みに対する地域の評価も絶大なるものがあり、学校に対する協力体制が一段と強化されたことも見逃すことのできない成果であろう。
(五) 研究方法が適切であったこと
1 研究主題が適切であったこと
現在の高等学校のかかえる問題は生徒の目的意識が希薄で、学校生活への意欲に乏しいところに起因しているといっても過言ではない。この根本的なところに着目しテーマを設定したことである。
2 主題に迫るための研究目標が広い視野のもとに設定されたこと
生徒指導を単なる現象への対応ということではなく、学習指導、進路指導、部活動など教育活動全体の中に位置つけ、幅広い実践がみられたことである。
3 生徒の実態を的確に把握したこと
漠然とした把握にとどまりがちな生徒の実態を多くの調査により的確にとらえ、それに対応するきめ細か
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