教育福島0062号(1981年(S56)07月)-020page

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な実践がなされたことである。

 

4 実践結果を絶えず評価、点検し、計画の段階にフィードバックして実践方法を修正するなど柔軟性がみられたこと。

 

五 今後の課題と展望

 

(一) 学習指導に関すること

 

全体的に好ましい変容が認められる中で、中堅学年である第二学年に陥没現象がみられることは問題であり、次のような点を中心に研究を深めたいものである。

 

1 学習意欲を向上させるためには、「わかる授業」は必要条件の一つであるが、同時に学習への興味と関心を引き出し知的好奇心を高めるような授業の研究も必要であろう。

2 作成された「学習の手引き」の精神を毎時間の授業の中でいかに生かすか。

3 家庭学習の習慣化を図るために授業に直結した課題学習のあり方。

4 生徒の基礎学習をいかに高めるか。

5 学力差の大きい生徒にいかに対応するか。

 

(二) 生徒会・部活動に関すること

 

部活動では大きな成果が認められたが、生徒会活動では好ましい変容がみられなかった。

これは仮校舎住いという物理的条件によるところが大きいが次の点の研究が期待される。

 

1 積極性に乏しい生徒たちを自発的・自走的に活動できる段階までいかにして引き上げるか。

 

2 生徒会行事やホームルーム活動への参加意欲を高めるためにはどうすればよいか。

 

(三) 進路指導に関すること

 

進路指導については、核家族の影響過疎地域のかかえる問題性など現実的な問題とのかかわりがあり、学校だけで解決できないことも多いが、次のような点が今後の課題であろう。

 

1 生徒たちの「社会への適応」「学力が伴なわない」などの悩みを解消し、自信をもたせるにはどうすればよいか。

 

2 発達段階に応じた計画的な進路指導と共に個に応じた進路指導はいかにあるべきか。

 

以上、川口高校の研究実践の概要を紹介したが、いずれにしても、本研究を通し、全職員の共通理解が一層深まるとともに教育実践に対して常に反省、改善を繰り返すという熱意が培われ、それが生徒に反映して高校生活に意欲的に取り組む姿勢を醸成することができたことは大きな成果として評価できるものである。

今後とも、生徒の実態を的確に把握し、それに基づく実践を積み重ね、意欲に満ちた学校づくりを期待するものである。

 

ミニ文化祭

ミニ文化祭

 

いいわらびがいっぱい

いいわらびがいっぱい

 

おわりに

 

上述の生徒指導推進地域について、いわき市は指定第二年目の活動を展開しているが、初年度に実施したアンケート調査の分析結果と初年度末の総括に基づき、学校と地域が連携を一層密にして、一貫した活動が推進されるならば、大きな成果が期待できよう。

中・高連携については、それぞれの地域、学校の実態をふまえ、信頼関係を確立し、日常における触れ合いを大切にするなど運営上の工夫によって、一段と実効のあがるものにしてもらいたい。研究推進校の指定期間を終えた二校に対し、その間の労苦と成果に敬意を表したい。

両校とも学校を挙げて、その研究実践に取り組み、上述のような多くの成果をおさめたが、県内の各校においても、この両校の実践例を参考にして、ややもすると見失われがちな生徒指導の本質を見極め、自校における生徒指導上の課題を明確にし、特色ある学校づくりを進めてもらいたい。

 

 

 


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