教育福島0062号(1981年(S56)07月)-026page

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わたしの研究実践

 

読みの基礎基本を重視した指導

 

喜多方市立第一小学校教諭

金子文哉

 

一 はじめに

 

四年前に赴任した時、本校では教育課程研究のための指定を受けており、研究主題「自ら喜んで学習に取り組む子供にするための学習指導」を受け、国語科では「一人一人の児童に読むことの楽しさを感受させる指導」を研究副主題として、所属する部員による研究が進められていた。

以降、国語科における基礎的な能力を高めるための指導と、児童を生かすための方法に焦点を置き、研究に取り組んできた。

 

二 研究実践の概要

 

(一) 考えかた

児童一人一人に読む楽しさを感受させるには、「わかること」が第一であり、更には、主体的に学習を進めていく上で、児童が「生かされる」ことも見逃せない。

したがって、「わかる」ために基礎・基本を確かに身につけさせるための手だてを考えていく必要があり、「生かされる」ために、学習のしかたやノートづくりなど、主体的に取り組める手だての工夫と合わせて、授業の場面で一人一人が活動できるための手だても考えていく必要がある。

そのために、授業の実際に当たっては、低、中、高学年に、それぞれ研究の視点を設定して研究を推進することにした。

低−多面的な活動を取り入れた授業

中−考えや発言を生かす授業

高−ひとり学習を生かす授業

(二) 授業案と指導段階

基礎基本を確かに身につけさせるために、読みの基礎的基本的事項を明確におさえ、取りたて指導や言葉についての学習が確実にとれる指導段階を考えた。それが、単元の展開を「八段階」に分けて指導しようとする案である。

実際にどのような単元学習の展開をしたか、六年の「石うすの歌」(光村)の場合を例としてあげる。

「石うすの歌」 九時間

第一次 一時間

全文を通読し、一次感想を書き、学習計画をたてる。

第二次 一時間

基礎学習をさせる。(語句、漢字の取りたて指導)

第三次 一時間

とおし読みをさせる(あらすじ把握、場面設定、課題つくり)

第四次 四時間

登場人物の言動に注目させ、心情や場面の情景を読み深めさせる。(主題の把握)

第五次 二分の一時間

主題について話し合い、第二次感想を書かせる。

第六次 二分の一時間

作品の良さを味わわせる。

第七次 一時間

基礎学習と評価

(短文作り 熟語作り)

第八次 学活の時間など

発展読書 「あしたの風」

※基礎学習のうち、第二次では抵抗を取り除くことをねらいとし、第七次は定着・応用をねらいとする。

(三) ノートづくり等

1) よくわかるためには、正しく読めることが前提条件の一つになる。そのため、家庭学習の中に必ず十分間の音読の時間をとる。(カードに家人のサイン等をし、簿冊にして記録を残す)

2) 新出、読み替え漢字や言葉について調べておく「漢字・言葉ノート」や文章を詳しく読み進める上で、課題に沿って自分が読み取った内容を書いていく「読みとりノート」づくりとその・活用など、学習の障害となるものをできるだけ取り除いて参加できるようにした。

(四) 一人調べと発表

「漢字言葉ノート」と「読みとりノート」は、在校時間内(朝・帰り)で調べるようにした。(場合によっては家庭に帰ってから調べてくることもある)これらのノートをもとにした学習が進められることも多く、一人調べとその発表によって、「知ること」と、「認められる」ことの両面からの喜びを期待した。

(五) ドリル等

 

 

 


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