教育福島0062号(1981年(S56)07月)-027page

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また、漢字書字力の定着を図るためには、「漢字・言葉ノート」だけの練習では足りない場合もあるので、漢字練習張やドリル等での自習の他に、プリントなど数多く取り入れた。

(六) 授業展開から

1) 漢字や言葉については、定着の度合いや応用力に個人差が認められたものの、全体的に確実さが増した。(ドリル学習・一人調べなどの効果)

2) 心情の読みとりについては、「読みとりノート」をもとにOHPなどでの発表を手がかりに各自の考えが深められていったが、学習訓練とあわせて発問の研究等反省させられる素材がいくつかあった。

 

三 まとめ

 

(一) 実践の結果から

1) 読みとりにおける基礎的基本的事項の重視は、読むことへの抵抗を少なくして、朗読などにも好影響を及ぼしてくるが、自分から意識を持って努力をする児童とそうでない児童との個人差もはっきりしてくる。また、単元全体の展開に当たっても、初めのうちは時間数の不足がみられたが、馴れるに従って解消の方向へ向いてきた。

2) 単元学習展開のパターンが児童にも分かり、課題意識を持って一人調べをすること、また、調べた結果が認められるということが、次時への学習意欲となって好循環を生むようになるが、高学年になるにつれ、ついて行けない子がでてくるので、能力に応じた学習のしかたを指導する必要がある。その際、言うまでもないことであるが、担任の励ましはもちろん、級友から認められ励まされることが大きな影響を及ぼしている。

3) 児童が自ら喜んで学習に取り組むようになるためには、期待される児童像だけを追求して手だてを講ずるだけでなく、教師そのものも、自己満足やマンネリ化した状態から脱皮すべく研修を続ける必要がある。

(二)今後の課題

読むことについては、児童も学習のしかたがある程度分かり、言葉や語句についての理解と定着が図られるよう一になってきたが、せっかく豊富になってきた語いを、文章表現に生かしきれないでいる場合が多いようである。

これは、文章構成と修飾語の働きの関係がよく把握できないでいるのも一因と思われるので、基礎学習の段階で行ってきた短作文の積み上げと合わせて、文章構成についての理解を図る指導を工夫し、更には、周囲の事象を注意深く見られる態度を育て、「表現」の力を伸ばすようにしなければならないと考えている。そして豊かな表現できる児童を一人でも多く育てたい。

 

資料 〈単元全体の基本過程〉 (8段階)

 

 

 

 


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