教育福島0062号(1981年(S56)07月)-030page

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わたしの研究実践

 

−教材化の観点と一つの試み−

情報技術教育とマイクロコンピュータ

 

福島県立喜多方工業高等学校教諭

本田毅

 

一 はじめに

 

工業高校における情報教育はすでに十年を経過し、その指導内容はほぼ定着したかのような昨今であったが、著しい技術の進歩と社会の動向は、私たちの教育現場に新たな課題を提示しているように思われる0

もちろん、ミニコンピュータ(ミニコン)などによるデータ処理の指導のみならず、マイクロコンピュータ(マイコン)を導入しての様々な試みは、ここ数年いくつもの学校でなされてきているところであり、私たちにとっては授業や実習の中でマイコンをどのように位置つけるかが新たなテーマになっている。以下は、数年来マイコンに取り組んできた過程で得られた私なりの教材についての観点と、それに基づいて試みた本校での実践のいくつかを紹介したものである。

 

二 マイコン導入の観点

 

マイコンは各種の産業用機械装置や家電関係、通信関係の制御や計測など多くの分野に導入され、その応用範囲はまさに全産業界をおおいつくそうとしている。その普及の理由としては、1)機械装置や回路構成の大きな変更によって利用者の要求に即応できる。2)装置全体をコンパクトにできる。3)装置の設計と標準化が容易になり、開発期間を大幅に短縮できる。4)使用部品と消費電力が少ないので信頼性が向上する。5)したがって経済的な効果が大きい。などがあげられる。

マイコンは更に周辺機器を装備し機能を拡充するほか、高級言語を開発することによって低価格なパーソナルコンピュータ(PC)を生み出すに至った。PCは個人対象のソフト的利用のみならず、各種の事業団、オフィス用やミニコン市場の一部へも急速に進出してきている。

このようなマイコンやPCを教育の場に導入することには多くのメリットがありそうである。それは、

(一) マイコンやPCを、数多く準備すれば、個々の生徒が直接に操作して使用する機会を多くすることができる。

(二) データー処理以外に制御や計測の分野の指導も比較的容易にできる。

(三) 現在設置されているミニコンの更新時期に、ミニコンをPCに置き換えても従来の目標はほぼ達成できるので経済的である。

(四) 新指導要領で新設される「工業基礎」における情報の分野で、生徒が興味と関心を持つPCを利用すればその指導効果を高めることができる。

(五) マイコンやPCの出現と普及によって、情報化の波がありとあらゆる分野にまで押し広がりつつある昨今、教材として導入することは時宜を得たものである。

 

三 電子科での取り組み

 

本校の電子科における情報技術の指導は次のような内容で実施している。

1)教科(電子工学皿)による指導

2)ミニコンによるフォートランのプログラミング実習

3)論理素子及びデジタル回路の実習

4)マイコンによる制御の実習

ここでは3)と4)のテーマにおける指導内容と教材の整備を簡単に紹介しながら述べることにする。指導内容としてはまだ日の浅いもので、現在の取り組みの中から将来の指導の内容と形態をさぐり出すことができればと考えている。

(一) 多論理回路の基礎実習

今日の情報化の進展は、すべて集積回路(IC)の飛躍的な進歩によるも

 

デジタル回路の実習セット

デジタル回路の実習セット

 

 

 


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