教育福島0062号(1981年(S56)07月)-037page

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昭和五十一年度から文部省が奨励している地域活動促進事業の一環として実施しているものである。市内の青少年が、各種行事への参加をどうして相互に友情を深め、仲間との活動に喜びを持ち、積極的に仲間づくりを進めることによって、みずから地域社会の形成者としての役割と自覚を高めていこうとするものである。特に、本事業は、市青少年団体連絡協議会の協力のもとに、多数の青少年の参加を得て実施し、地域活動促進の基幹事業として、大きな成果をあげている。

〈活動組織〉

事業実施は、青少年団体代表者、及び学識経験者等二十名の代表者からなる青年仲間づくり推進事業実行委員会を設け、青少年の希望を生かすとともに、主体的な活動と積極的な参加が図られるよう配慮している。

 

〈実行委員会議〉

 

〈実行委員会議〉

年間十回の会議を開催し、具体的な内容・方法等についての意見交換や、地域活動の進め方について検討を加えている。

なお、アドバイザーとして、社会教育主事、公民館主事、市青少年団体連絡協議会長が指導に当たっている。

〈事業内容〉

◎「チョット変わった一日を」クリーン福島のつどい

県庁前から信夫山にむかって、街路の一ぜい清掃活動をし、ボランティア精神の普及を図るとともに、市内のアマチュアバンドによる野外コンーサートを催し、参加者の親睦を深めている。

◎団体リーダー研修会

市内青少年団体のリーダー六十名が参加して、相互の交流をとおしながら、団体活動の重要性及び進め方について研修し、リーダーとしての資質の向上を図っている。

◎動物愛護活動

冬期、阿武隈川に渡来する白鳥のために、全市民に呼びかけ、二千キログラムのえさを集め、保護意識の高揚に努めた。毎年、継続事業として実施しており、市民から大変喜ばれている。

◎とびだせわんぱく広場

市内の小学生百名を対象に、竹馬、ゴムとび、メンコ等の昔遊びを指導し、伝承文化の継承に努めた。

〈成果と問題点〉

青少年団体に対する市民の理解が深まり、団体活動を進めるうえでの地域環境作りに役立っているが、参加者の大部分が団体加入者で占められ、一般市民の参加呼びかけや未組織青年層への働きかけが今後の課題である。

 

伝承あそび

伝承あそび

 

植樹活動(信夫山に緑を)

植樹活動(信夫山に緑を)

 

四 地域活動の課題と振興策

 

青少年の地域に対する意識は、これまでに述べてきた団体活動や各種事業にみられるように、「脱社会」と言われる世相の片隅に根強く息づき、次第にその息吹を発しつつある。しかし、これらが、更に密度の濃い活動へと展開していくためには、多くの課題が残存しており、積極的な行政施策が要請されている。

大衆文化的でメカニックに興じている青少年を、伝統的な文化活動や、連帯性を高めるための地域活動に目を向けさせるためには、彼らに、日常生活の内実に対する洞察を与え、そして、最も身近な、地域が直面している諸問題への関心を促すことが必要である。その方法として、青少年教育事業への参加奨励と、団体活動の育成等が考えられる。こうした意図的事業の中で、彼らが、体を通して地域社会から認められた喜びを知るとき、地域活動の意義を見い出すことができるのである。

ともあれ、地域活動は地道であり、一朝にしてその成果をみることは容易ではないが、行政と各関係機関が相互の協力体制を強め、計画的、継続的に指導・助言し、育成に努めることが緊要である。

(社会教育主事 山田義夫)

 

 

 


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