教育福島0063号(1981年(S56)08月)-009page
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度化、青少年の問題行動の増加といった情勢の変化が急速に進み、様々な批判や意見が寄せられた。
このような情勢の中で、学校教育が新たな教育観に立って将来を構想し、進むべき方向を確立していくことが大きな課題となったのは当然といえようo
今回の教育課程の基準の改善、学習指導要領の改訂は、このような、学校教育の現状、学校を取り巻く社会の状況、更には、戦後三十有余年の教育の変遷をふまえて行われたものであって、単なる十年周期の改訂ではないという認識が必要である。
教育課程の基準改善のねらい、及び学習指導要領改訂の基本方針は、今後の学校教育の方向を示すものであり、極めて重要な意味を持っている。したがって、ねらいや方針は、教職に携わる者すべてが、その意味するところを的確にとらえ、またこれを常に念頭に置き、その実現のため最善の努力をすることが必要である。
◎ 教育課程の基準改善のねらい
「自ら考え正しく判断できる力を持つ児童生徒の育成」を重視し、次のねらいの達成を目指す。
1 人間性豊かな児童生徒を育てる。
2 ゆとりあるしかも充実した学校生活が送れるようにする。
3 国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視し、児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにする。
このねらいを受け、学習指導要領が改訂されたが、ねらいを更に補説した形で、基本方針が設定されている。
◎ 学習指導要領改訂の基本方針
1 道徳教育や体育を一層重視し、知・徳・体の調和のとれた、人間性豊かな児童生徒の育成を図る。
2 各教科等の基礎的・基本的事項を身につけられるように、指導内容を精選し、創造的な能力の育成を図る。
3 ゆとりある充実した学校生活を実現するために、各教科の標準時数を削減し、地域や学校の実態に即して授業時数の運用に創意工夫を加えることができるようにする。
4 学習指導要領で定める各教科等の目標・内容を中核的事項にとどめ、教師の自発的な創意工夫を加えた学習指導が十分展開できるようにする。
これらのねらいや方針では、これからの学校教育において「知・徳・体の調和のとれた、人間性豊かな児童生徒を育成する」ことが、最重要課題であることを強調し、そのためにしなければならないことを述べている。
特に、学校や地域の実態に応じ、学校(教師)の創意工夫が必要であることを、繰りかえし述べており、教育活動のすべてにわたり創意工夫を加え、教育の質的転換を図ること、学校の主体性を発揮することを強調している。
このことを肝に銘じ、全教職員が総力を挙げ、その実現を図るための努力を続けていく必要がある。
次に、これからの学校教育を推進するうえで、基本的におさえておかなければならないことを、順を追って述べることとする。
一 本県教育の課題
県教育委員会は、教育課程の基準改善の基本的な考え方に呼応し、昭和五十三年三月に「第二次福島県長期総合教育計画」を策定し、この計画を具体的に進めるため「第一期実施計画」(昭和五十三〜五十五年度)を策定し各種施策を進めて来たが、昭和五十六年三月には「第二期実施計画」(昭和五十六〜五十八年度)を策定した。
これに基づいて、昭和五十六年度の県教育委員会の重点施策が次のように定められたが、これは、本県教育の課題でもあり課題解決のための方策でもあって、本県教育関係者としては、それぞれの立場においてその実現のために努力しなければならない。
(重点施策)
県教育委員会は、
○ 豊かな教養と正しい判断力をも
つ人間の育成
○ 個人の価値を尊ぶ人間の育成
○ 健康な人間の育成の理念に立つ未来をひらく、県民のための生涯教育≠フ実現を図るために次のような重点施策を設定した。
1 ゆとりと充実をめざす学校教育
の推進
2 障害をもつ子どもたちへの豊か
な教育の推進
3 あすをになう青少年の健全育成
の推進
4 自ら学習し生きがいを求める社
会教育の推進
5 健康と体力の向上をめざす社会
体育の推進
6 伝統を生かし創造性をはぐくむ
文化活動の推進
この重点施策を具現化するために、各施策にそれぞれいくつかの柱を掲げ体系的にその推進を図っている。
幼稚園・小・中学校の教育に直接かかわりが深いのは、第一項の「ゆとりと充実をめざす学校教育の推進」であるが、この項では
(1) 教育活動の質的充実
(2) 教職員の確保と指導力の向上
(3) 教育機会の拡充
(4) 教育施設・設備の整備充実の四項を掲げている。これらは、いずれも当面の課題として重要なものであるが、日常の教育活動と関係が深いのは「教育活動の質的充実」及び「教職員の指導力の向上」であろう。
「教育活動の質的充実」の内容として六項にわたる具体的施策を挙げている。
その第一は「教育課程の改善充実」である。
各学校においては、今後の教育のあ
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