教育福島0063号(1981年(S56)08月)-010page
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るべき方向を見定め、改訂の背景を念頭におき、改訂の趣旨をいかした望ましい教育課程の編成と実施に努め、教育活動の質的充実を図るよう努めることが望まれる。
特に、基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけさせ、自ら考え正しく判断する力や自ら学びとる態度を身につけさせるなど、学習指導の質的転換を図ることが現下の急務であり、学習の中でこそ「ゆとりと充実」が重視されなければならない。
第二に「生徒指導の充実」を挙げている。現在の社会状況の中で、児童生徒にかかわる様々な問題が生起しており、生徒指導の原点に立ちもどり、児童生徒の側に立ち、日常の指導を充実することが肝要である。
第三項以下、児童生徒の体力や運動機能の向上、保健安全対策の充実等の重要な課題が挙げられている。
最後に「教職員の指導力の向上」について述べておきたい。
学校教育の質的充実は、いつに教師の双肩にかかっている。その責務を果たすためには、教師の指導力の向上のための絶えざる研修が必要である。
県内の全教師が、研修を主体的に受けとめ、日常の教育活動の中から課題を見いだし、自らの課題としてその解決の努力を続けることが大切である。
研修会への参加、共同研究の推進とともに個人研修の充実を図りたい。
二 学校経営
(一) 克実した学校経営
1 自校の教育課題の明確化
各学校では、新教育課程の実施年度を迎えるに当たって、地域や学校、児童生徒の実態や阻害要因などを各般にわたって把握した上で、学習指導要領改訂のねらいである「人間性豊かな児童生徒の育成」の観点から検討し、強調点を明らかにした教育目標を策定し、日々の教育活動を展開している。
果たして、教育目標は自校の教育課題を明確にし、あるいは、全職員の意識を共通にし、学校における全教育活動を統括するものになり得ただろうか。
教育目標の主体性、独自性、そして明確化といってもへ設定された教育目標は、近隣校のそれとそう変わらない似かよった表現にならざるを得なかったものと考えられる。
しかし、大事なことは、教育目標、つまり、短かいフレーズの中に、何を内容としておさえたかということであろう。
知・徳・体のそれぞれについて幅広い実態と、めざす児童生徒像、地域や家庭、そして学校の教育的諸条件などの吟味から、目標を煮つめていく過程で浮かび上がってきた具体事項の一つ一つが実際の指導の際には極めて大事になってくる。
この具体的事項は、学校の教育課題として整理され、全部の教師によって共通理解がなされていなければならないし、また、教育課程はもとより、その他の教育計画の中にも脈絡がとれていなければならない。
即ち、教育目標の明確化ということは、できあがった教育目標の表現の適否だけを問題にすることではなくて、短いフレーズで表現されるまでの過程で、どんな内容を中身とし、しかも学年段階に応じておさえたかという視点で考えるべきであろう。
それぞれの学校における教育目標の主体性・独自性ということも、まず、自校の教育課題を明らかにすることが必須の要件である。
この過程を経ない教育目標は、掲げる目標にはなっても、具現をめざす全教師による目的的な教育活動には結びつかない。
2 教育目標を具現する教育構想
各学校では、教育目標を指標として年度の重点目標(努力目標)を策定している。
更に、重点目標達成のために、具体的な実践事項を各教科・道徳・特別活動やその他の教育活動に関連づけるとともに、責任分担、時期、到達度などを明らかにして、教育目標具現の方策を計画している。
各学校で、調和のとれた人間性の育成をめざして策定した教育目標は、学校の教育活動の中心となる教育課程はもとより、教育諸計画に一貫し、脈絡は十分であろうか。
創意を生かした時間の活動や特別活動の時間だけが、豊かな人間性育成の場であると考えるのは、学習指導要領改訂の趣旨ではない。
学校の教育目標は日々の実践に結びつかなければ意味がないし、実践の中核となる計画は教育課程である。
したがって、各学校の教育課程全体の構想なり性格が教育目標達成に適したものになっているかどうか。また、個々の各教科や道徳や特別活動がどのように寄与しているのかどうか、あるいは毎日の授業のすすめ方の上ではどう改善しなければならないのか。目標の具現のために具体的に構想しておく必要がある。
また、実施途上においても反省を加えながら修正し、補強していきたい。
次に配慮しておかなければならないことは、児童生徒にとっての学校生活全体におけるゆとりと充実という観点から、いわゆる教育課程以外の活動や生活場面における目標具現の構想である。
児童生徒が、いわゆる授業を受けている時間は、一日をとってみても,在校時間の半分程度であることを考えてみると残りの学校生活や活動の時間の持つ教育的意義、人間形成への意義は大きいはずである。
これらの時間における児童生徒の活動や生活が教育目標具現の構想の上で
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