教育福島0063号(1981年(S56)08月)-011page

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どうとらえるか十分検討しておきたいものである。

教育目標が、意図的、計画的に全教育活動を通して具現されるためには、学年や学級でそれをどう具体化し、到達目標としてとらえるかにかかってくる。学級担任教師の創意ある指導によって、児童生徒自身の主体的な生活目標や学習目標にまでつながることを期待したい。

更に、学校の教育目標が、日常の全教育活動を通じて達成されるためには児童生徒及び保護者の理解も必要である。

児童生徒にはわかりやすい表現で与えるとか、保護者には学校だよりや集会等の機会を通して徹底を図るようにしたい。

3 協働態勢の確立

各学校では、教育課程の編成と実施のすべての面にわたり、創意工夫を加えながら学習指導要領改訂の趣旨をふまえて、新しい学校づくり、授業づくりをすすめながら、豊かな人間性を持つ児童生徒の育成に努めている。

教育目標の具現をめざす学校経営では、前項までに述べてきたように、経営計画面の見直しをするとともに、経営組織体としての維持と発展を図り、学校教育本来の目的を効果的に達成するために、教育諸条件の整備も図らなければならない。

とりわけ、教師間や校長と教師等の精神的結合や指導意欲の問題は、教育効果に大きな影響を与える。

教育にたずさわる人間相互の深い理解と愛情、信頼感によって結ばれた人間関係があって、はじめて教育の成果が期待されるのである。

組織の一員としての自覚を持った教師集団による協働態勢があって、教育目標の具現も図られるであろう。

また、今回の学習指導要領の改訂では、学校や教師の創意工夫を加えた指導が十分展開されることを期待し、基準の大綱化を図っている。

特に、児童生徒と毎日、毎時接し、教育目標具現の実際の指導を展開する教師への期待は非常に大きい。

すなわち、教育目標、日課表の検討、指導内容・時数の吟味、創意を生かした時間の活動、小学校低学年における合科的指導、中学校選択教科の運営等について、学校段階で、改訂の趣旨を受けての創意を生かした主体的な計画づくりの取り組みがみられた。

しかし、計画はそのまま児童生徒の活動に直面するものではなく、実際の指導場面において、教師の意欲に基づく創意工夫があってはじめて成果をあげることができるのである。

教育課題をとらえること、教育の方策を考えること、実際に指導すること、指導を反省し、次年度の計画に生かすことなど、教育活動の計画、実施、反省、評価の各段階において、全教師の目で多面的にとらえながら、一人一人の教師の創意を生かし指導に当たる協働態勢を確立する必要がある。

(二) ゆとりある充実した教育課程

1 教育課程編成に当たっての基本的

な考え方

(1) 教育課程とは

教育課程の意義については、様々なとらえ方があるが、一般的には次のように定義することができよう。

「学校において編成する教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童・生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である。」

つまり、学校において編成する教育課程とは、教育課程に関する法令に従い、学校教育の目的や目標を達成するために、各教科・道徳及び特別活動について、教育の内容を学年に応じ、授業数との関連において総合的に組織した学校の教育計画であるといえる。

(2) 編成に当たっての基本的な考え方

教育課程は、学校が編成するものである。したがって、学校は学習指導要領、その他の法令等についての研究を行うとともに、児童生徒、学校及び地域の実態を的確に把握し、それに基づいて創意工夫し、特色ある教育課程を編成する必要がある。

その際、特に次の点について十分配慮することが大切である。

1) 人間性豊かな生徒の育成

学校教育は、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒の育成をめざして行われるものである。

人間性豊かな児童生徒の育成については、教育課程審議会の答申では、特に次の点に留意する必要があると指摘している。

ア 自ら考える力を養い、創意的な知性と技能を育てること。

イ 強靭な意志力を養い自律的な精神を育てること。

ウ 自然愛や人間愛を大切にする豊かな情操を養うこと。

エ 正しい勤労観を培うこと。

オ 社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的社会性を培うこと。

カ 健康でたくましい身体の鍛練に努めること。

キ 家族、郷土、祖国を愛するとともに、国際社会の中で信頼と尊敬を得る日本人を育成すること。

2) ゆとりのあるしかも充実した学校

生活の実現

ゆとりあるしかも充実した学校生活を実現するためには、学校は創意を生かした教育課程を編成することが大切である。

ア 教育活動全体の見直しをし、学校や教師の自発的な創意工夫を加、え、充実した指導ができるようにすること。

イ 児童生徒の学校生活に、時間的にも精神的にもゆとりを持だせることによって、学校生活の充実を図る。

 

 

 


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