教育福島0063号(1981年(S56)08月)-019page

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イ 道徳性は、健全で調和のある教育活動の中で育てられる。

ウ 道徳性の発達を促す条件は、時間的空間的に広い場が必要であるから、児童生徒の広い生活環境を重視しなければならない。

工 道徳性を育てる方法原理としては、全教育課程をふまえることが効果的である。

2) 道徳的実践の指導を徹底する方策

一般には、学校の教育目標具現の一環として、取り上げる道徳的実践の項目を「生活目標」として設定し、月別学年別に実践目標(具体目標とか到達基準など)として示し、意図的計画的に指導が進められている。

道徳的実践は、人間がよりょく生きようとする努力の成果として具体的な生き方の中で実現されるものであるから、その指導に当たっては、教師も児童生徒とともに道徳的価値が人柄にまで結びつき、それぞれの人間のものになりきっていくように道徳的な判断力心情、態度及び実践意欲を高めていくことが大切である。

ところで「生活目標」という形で道徳的実践の指導を進める場合は次の点に留意することが望まれる。

ア 目標は、具体的で実践可能なものに精選し、数少なくする。

イ 教職員の共通理解のもとに、十分身につくまで目標を変えない。

ウ 教科、道徳、特別活動、その他の教育活動との関連、並びに家庭や地域との連携を図る。

道徳の時間の指導と道徳的実践との関連についても十分検討を加え、児童生徒の道徳的価値に対する意識を高めることが大切である。こうして道徳的価値を主体的に自覚したときにはじめて道徳的実践が可能となり、教育目標具現策も明確になってくる。

(二) 年間指導計画の改善

1) 使いやすい指導計画に

道徳の時間の指導計画が精粗の差異はあっても各学校で作成されているところであるが、それが学校、学級のものとして真に活用しやすいものとなっているかどうかを次の視点で再検討することが必要である。

ア 計画された時間は、どのような道徳的価値を指導のねらいとしているかが明確にわかるか。

イ 小学校(中学校)全学年を通して、どれだけの道徳的価値をどのように指導していくか、明確におさえられているか。

ウ 道徳の時間の指導のねらいが、学校の教育課題解決をめざす方向で焦点化されているか。

工 それぞれの道徳的価値が、学年が進むにつれて自覚を深めさせていくことができるように考慮されているか。

オ 各学年に配列された道徳的価値のそれぞれが、その学年における重点目標との関連、他の道徳的価値についての指導との関連、道徳の時間以外における指導との関連などが考慮されているか。

これらの内容上の検討に加えて、形式的にも、直接指導に当たる担任教師が活用しやすく、加除修正が累積されていくものとなっているかという点からも改善を図る必要がある。

2) 学級における具体策をめざして

道徳の時間の年間指導計画が学校ごとに作成されるように、児童生徒の直接指導に当たる学級においても、より一層実態に即したものとするため「道徳の時間の指導計画」を作成することが望まれる。

学級における指導計画は、週案、日案のほかに「学習指導案」として具体化されるが、その際の前提条件として次の事項をおさえておくことが大切である

ア 学級の児童生徒の道徳性の実態を正しく把握していること。

イ 学校教育の全体で行う道徳教育や、道徳の時間の性格や意義を正しく理解していること。

ウ 指導のねらい、内容、各種の指導方法等に熟知していること。

学校における年間指導計画は、学級における具体的実践指導の積み上げがなければ改善はできないのであるから実際の指導結果に基づいて組織的計画的に改善作業を進める上で学級担任の力量が問われてくる。

改善作業は一般的に次のような手順で進められることとなる。

ア 指導記録を残し、学年に共通する問題点を明確にする。

イ 指導に用いた資料は、提示方法効果等を添え書きして保存する。

ウ 校内における道徳の授業研究会等を実施し、年間指導計画の実証的改善を図る。

エ 学期ごとに適切な時期をとらえて学年で検討する機会を設け、主題ごとのねらい、展開の大要、指導方法、資料等について問題点を整理する。

(三) 道徳的実践力を培う指導の克実

1) 明確なねらいの設定

道徳の時間で身につけさせる道徳的実践力は「将来出合うであろう様々な場面、状況においても、価値を実現するための最も適切な行為を選択し、実践することが可能となる内面的資質」を音心味している。

ところで児童生徒の道徳性の発達傾向は個々人により異なるものであるから、道徳的実践力を培う指導を考える際は、それら個々人のちがいに留意し他と自己とのちがいを知り、感じとらせることにより道徳的価値感を育てていくようにしなければならない。

道徳の時間の指導においてねらいを設定するに当たっては、単に年間指導計画からの転記にとどまらず、学級の実態に即して十分検討し、指導する教師自身のものとして記述することが望ましい。そのためには、

 

 

 


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