教育福島0063号(1981年(S56)08月)-020page

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ア 学級の児童生徒の道徳性の実態を十分に考慮する。

イ 学習指導要領の内容とその取り扱い方、指導書のかっこ書きを十分に把握しておく。

ウ 道徳的価値を具体化し、焦点化する。

エ 内容相互の関連を図ったり、単純化するなどして、主となる道徳的価値を明確にする。

オ 指導する主題を通して、道徳的判断力、道徳的心情、道徳的態度のどの側面に重点をおくかを明らかにする。

2) 適切な資料

資料はかなり広範囲にわたって作成配布されているので、資料の具備すべき条件について十分理解し、更に適切な資料の開発に努めることが大切である。その際、次の点に留意すること。

ア 資料は原則的に一主題に使用しその時間に使えるものとする。

イ 資料分析の方法に習熟し、効果的な指導方法を工夫する。

ウ 資料類型論、資料活用類型論などの研究を生かすとともに、誤った解釈や固執のないようにする。

3) 効果的な発問

道徳の時間における指導方法として話し合いが多くみられるが、真に本音が出る話し合い活動を展開するために次の点に留意したい。

ア 学級における話し合いが、思いやりのある、温かい雰囲気で行われるように努める。

イ きれいごとの応答に終始することなく、観点、立場をかえた発問を重視する。

ウ 資料の主人公の行動や気持ちを推測させ、自己の本音を他に託して発言できるような問いかけをする。

エ 児童生徒一人一人の日ごろのものの考え方、感じ方の実態をとらえておいて発問を構成する。

 

六 特別活動

 

(一) 特別活動の指導のあり方

今日の時代は、一人一人の人間により一層自主的、自律的に生きる力を持つことを要求しつつあるといわれている。そして、「自主的、自律的に生きる力」を持っている人間は「いろいろな知識や技術を修得することだけから生まれるものではなく、さまざまな資質や能力を総合する主体としての人格の育成にまたなければならない」と考えられる。そこで、児童生徒の人間形成上重要な役割を果たす特別活動に飼いては、学校の創意を生かし、一層の充実を図ることが必要となる。

特別活動は、小・中学校ともに一貫した目標を掲げ、「望ましい集団活動を通して」「なすことによって学ぶ教育活動」であるところにその特質がある。

そして、指導のあり方については、

○ 児童生徒の相互作用を活発にする。

〇 児童生徒の自主性を育てる。

○ 集団への所属感や連帯感を育てる。

〇児童生徒の相互理解を深め、好ましい人間関係を育てる。

○ 集団生活における問題解決の方法を学ばぜる。

○ 自己理解を深めさぜ、個性の伸長を図る。

など、いくつかの要点をおさえることができる。

指導に関しては、特別活動の持つ教育的意義や価値を正しく認識し、各教科や道徳とは異なった特質を生かした指導が適切に行われなければならない。

(二) 特別活動の全体計画

特別活動の三つの内容は、それぞれ独自の特質を持っている。それらを十分に生かすとともに、目標を効果的、調和的に達成するためには、総合的な立場から全体計画が必要とされる。

以下、特別活動の全体計画を作成するに当たって特に考慮すべき点を項目的にあげてみる。

○ 学校の実態に即した特別活動の目標と指導の重点を明確にする。

〇 特別活動の指導組織を学校運営組織の中に正しく位置つける。

○ 授業時数の配当を適切に行う。

○ 地域や学校の実態、児童生徒の発達段階に合わせて作成する。

○ 内容相互の関連を考慮し作成する。

〇 他領域との関連を図り作成する。

(三) 各内容の特質と指導の要点

◆ 児童(生徒)活動

1 学級会活動

1) 学級会活動の特質

○ 活動をできるだけ児童生徒にゆだね、自発的・自治的な発意や発想を大事にする教育活動である。

○ よい結果の期待よりも、児童生徒の取り組む実践過程そのものを重視する教育活動である。

○ 集団の中で個が生かされ、個と集団が相互に作用しあって向上していく教育活動である。

2) 学級会活動の指導の要点

○ 係り分担による活動

・ 学級の必要感に基づく組織をつくる。

・ 学級の全員になんらかの役割を与える。

・ 役割分担、活動内容を明確にしておく。

・ 児童(生徒)会の組織との関連も考慮に入れる。

○ 話し合いによる活動

児童生徒の手で解決可能な適切な議題を選ばせる。

・ たえず学級内の生活をみつめ、問題に気づかせ、議題発掘や活動への動機づけを行う。

・ 結論を急いで少数意見が埋没した

 

 

 


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