教育福島0063号(1981年(S56)08月)-022page

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(1) 内面的理解の重視

児童生徒一人一人を理解するには、表面的な行動をとらえるだけでは十分ではない。

行動の奥にある心のはたらきを理解することなしには児童生徒を理解したことにはならない。

問題行動も、児童生徒の基本的欲求の充足が何らかの要因で阻害され、その代償を問題行動に求めていることが多く、しかも児童生徒自身がそのことを意識してないことが多い。したがって、児童生徒に「どうしてあんな行動をしたのか」等と詰問しても、行動の真因を求めることは無理である。

児童生徒自身すら意識していない内面を理解することが真の理解であり、そのためには、教師が生徒理解について研修を深め、資質の向上に努めることが大切である。

(2) 総合的理解の充実

生徒理解のいろいろな方法の中で、最も日常的な方法は観察である。

特に、児童生徒とふれ合いの最も深い学級担任による観察はその中核であり重要な生徒理解の活動である。

しかし、学級担任が観察によって把握できるのは、児童生徒の理解に必要な要件の極めて限られた一部分にすぎず、時には学級担任の偏見や独善的な生徒理解になりかねない一面を持っている。

このような偏った生徒理解に陥らないようにするためには、児童生徒を総合的に理解することが大切である。

次に、総合的に理解するための留意点をあげてみたい。

1) 学級担任以外の教師との連携強化

児童生徒は、学級担任以外の教師には、学級担任の場合とは違った意外な一面をみせることがある。

ある生徒の学習態度についての評価が、教科担任によってかなりの差がある場合等はその一例である。

この場合、教科担任の評価の観点の相違によると考えるよりは、生徒の学習態度が教科によって、あるいは指導する教師によって異なると考えるのが至当であるし、また、この相違を教師の観点の相違や見解の相違と受けとめてしまっては生徒理解が独善的で偏ったものに止まってしまうであろう。

学級担任は、担任以外の教師との連携を密にし、生徒理解のための資料を収集し、生徒理解を的確なものにしたいものである。

特に養護教諭との連携は、生徒理解のため欠かせない要件である。

2) 記録の累積

毎日児童生徒に接していると、生徒理解が十分なされていると思いこんだり、生徒理解が固定的、観念的になったりする。

児童生徒の変容は、好ましくない変化は、小さな変化も認めやすいが、望ましい変容は見落とされてしまうことが多い。

記録を累積し、生徒理解に客観性を持たせることが大切である。

3) 資料の整備と活用

諸調査、検査、指導の記録などの資料は、学級担任個人のものとしないでできるだけ他の教師も活用できるように整備を工夫する必要がある。

学級担任以外の教師が、これらの資料や学級担任との情報交換により、生徒理解を深めて指導に当たることは、生徒指導のうえからはもちろん、担当教科の指導をすすめるうえでも極めて大切である。

4) 教育相談の充実

教育相談は、問題行動の早期発見、早期指導のために欠かせない活動であるばかりでなく、生徒理解のためにも極めて重要な活動である。

教師と児童生徒との好ましい人間関係が成立している限り、生徒理解は十分なされているとの考えから、教育相談、特に定期相談については、否定的ないし疑問視する考えもある。

児童生徒とのふれあいを大切にし、信頼関係を培うことは、生徒理解、生徒指導の基盤であるが、それだけでは生徒理解は十分でない。

面接相談だけでなく、班日誌、個人日記等による相談も併用し、生徒理解を深めたい。

・小学校における教育相談の実施

小学校では、学級担任と児童とのふれ合いが密接なので、生徒理解は十分なされていると考えられがちである。

しかし、あらたまった形で、一人一人と話し合ってみると、思いがけない一面を見出すことが少なくない。生徒理解を深めるため、小学校においても相談活動を実施する必要がある。

・開放的な教育相談の実施

教育相談が、学級担任による相談のみに固定しては成果はあがらない。

特に中学校では、学年の教師、あるいは全校教師による開放的な教育相談を実施することも試みる必要がある。

(三) 指導体制の確立

(1) 協力体制の重要性

生徒指導が生徒指導主事(主任)や指導係に任されたり、学級担任が自分の学級のわくの中だけでの指導を考えていたのでは成果はあがらない。

校内暴力等が、教師の指導の不一致のすきや足並みの乱れに乗じて発生していること等は、協力体制を確立することがいかに大切かを示している。

全校教師が一体となって指導に当たる体制を確立したい。

(2) 教師相互の好ましい人間関係の

醸成

協力体制を確立し、全校教師が一体となって生徒指導を推進するためには教師相互が信頼によって結ばれていることが大切である。

教師相互の人間関係が好ましいものになっていないときは、指導に対する他からの助言に拒否的であったり、あるいはある教師の生徒指導に対して感情的な否定や冷淡な傍観的態度であっ

 

 

 


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