教育福島0063号(1981年(S56)08月)-023page

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たりして、そのマイナス面が児童生徒に反映されて、問題行動を助長しがちである。指導上の問題点は率直に指摘し合い協力して指導を推進できるようにしたい。

(3) 研修の推進

生徒指導について共通理解を図り、協力体制を確立するためには、生徒指導の基本的事項について研修を深め、生徒指導のあり方について同じ考えを持つことが大切である。

事例研究等で、生徒指導の具体的な問題の指導のあり方について共通理解を図る場合も、各教師の生徒指導の基本的事項の理解がまちまちでは、共通理解を得ることは困難である。

生徒指導の意義や役割等、生徒指導の基本的事項について研修をすすめ、協力体制確立の基盤とすることが望まれる。

(四) 小中学校の連携強化

(1) 小中学校の連携

生徒指導を一層推進し、成果をあげるためには、地域の小学校と中学校の連携を強化し、互いに協力して指導をすすめることが大切である。

各地区で開催される生徒指導対策研究協議会や合同校外補導等を通して、小中学校の連携は強化されつつあり、成果をあげているが、更に次のような具体的活動をすすめ、連携の強化を図りたい。

1) 小中学校合同生徒指導研究協議会

中学校単位に、学区内の小学校と中学校の合同協議会を持ち、それぞれの学校における生徒指導の方針等について相互理解を深めるようにしたい。

参加者については、関係学校の規模により、全員協議会、合同生徒指導部会、小中生徒指導主事(主任)会などが考えられる。

2) 中学校入学時の事前協議会

小学校の卒業学年の担任と、中学校の関係教師との協議は、どの中学校でも実施されているが、形式的な「引き継ぎ」になっている観がある。

問題行動を持つ児童については、できるだけ細部にわたる資料を提供する等、連携を密にし、小中学校が一体となって指導する必要がある。

また、実施の時期は学年末のあわただしい時期を避け、実施方法も、一つの中学校に学区内の複数の小学校の関係教師を同時に参集させる方法を改め関係教師が個別に情報交換ができるように工夫すべきであろう。

3) 資料の整備活用

生徒指導の個票等の資料が、小中学校で継続して活用できるよう工夫し、指導に一貫性を持たせることが大切である。このことは特に中学校における生徒指導の充実のために効果的な方策である。

この場合、誤った先入観により指導が行われると逆効果をもたらすことになるので、資料は慎重に取り扱う必要がある。また、家庭や個人のプライバシーにかかわることも多いので、秘密の保持には十分留意する必要がある。

なお、中学校と高等学校の連携については、その重要性が認識され、諸方策が実施されて成果をあげているが、なお一層の充実を図る必要がある。

(五) 進路指導の売実

(1) 進路指導の意義の理解

進路指導は「生徒の個人資料、進路情報、啓発的経験及び相談を通じて、生徒が自ら将来の進路の選択や計画をし、更によりょく適応し、進歩する能力を伸長するように、教師が組織的、継続的に指導する過程である」といわれている。

換言すれば進路指導とは、単に就職進学の指導だけでなく、生徒が将来進むべき人生の方向を設計し、吟味し、その実現を援助する指導活動である。

この意義を十分理解し指導に当たる必要がある。

(2) 生徒理解に基づく指導

個々の生徒は、その資質や興味、価値観、進路希望などをそれぞれ異にしている。したがって、指導に当たっては、一人一人の資質等を十分理解し、将来の生活において自己をよりょく実現することができるよう指導、援助しなければならない。

基本的には、生徒の長所を見出し、将来の進路に向けて励まし育てる態度が大切である。

 

八 へき地教育

 

(一) へき地の特性を生かす学校経営

へき地の特性は、それぞれの地域によって多少異なるが、総括して、「へき地性」「小規模性」「複式指導形態」などに要約される。教育課題はそれぞれの学校により相違はあるが、学校の教育環境や教育的な条件を生かし課題の解決を図るとともに、むしろ、好ましい児童生徒の特性の伸長に力点を置く学校経営のあり方が望まれる。

1 全教職員が機能する経営

個々の教職員の明確な組織への位置つけと学校教育目標の具現化方策の共通理解を基に、有機的に機能し、一致して当たる経営のあり方が求められる。

2 少人数の特性を生かす経営

「発言や直接体験の機会が多い」「直接指導の密度が濃い」「大胆な指導法がとれる」などの長所を生かし、基礎的、基本的事項を身につけ一人一人の能力やよさを生かし育てる全教育活動を通した指導が期待される。

また一方、少人数であるが故の教育的な課題の解決のため、合同授業等による学習の集団化を図り、学習の充実感と喜びを味わわせることも重視される必要がある。

3 体験的な活動を重視する経営

地域を見つめ、理解し、愛し、誇

 

 

 


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