教育福島0063号(1981年(S56)08月)-025page
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関係などをとらえることが大切である。また、幼児によっては同じ乱暴でも、友達と遊びたいために乱暴したり、自己主張の時や悲しみの表現であったりする。教師は常に個々によって表現の仕方が異なることを理解し、対応していかなければならない。
ウ 幼児の変容をとらえること。
日々の観察や記録を累積し、「以前と比べてどう変わったか」という観点から幼児をとらえるようにする。
幼児理解に当たって、教師の姿勢として必要なことは、
・教師の持っている尺度で幼児を見ないようにする。
・幼児のありのままの行動を見て、幼児の気持ちを分かろうとする。
・幼児の望むことを知り、それに対応して動くこと。などである。
2 望ましい経験や活動の選択
望ましい経験や活動として取り上げられるものには、幼児の生活全般に及ぶ広い範囲のさまざまな種類がある。その中で、指導のねらいが達成され、しかも、幼児の興味と関心をそそる楽しい活動を選ぶことが大切である。経験や活動を選択する時の観点としては
ア 幼児の日常生活経験に即している活動
イ 自発的行動を促せる活動
ウ 活動後、成功感や充実感が得られる活動
エ 友達との遊びかたを知らせる活動などである。
(二) 幼児の特性を生かした指導
幼児は一般に興味の持続時間が短く周囲からの影響を受けやすい。また、新しい活動に対して抵抗を感じる幼児や意欲を示さない幼児もいる。これらの幼児が主体的に活動に取り組み、しかも望ましい方向へ発展できるようにするには、
ア 幼児の遊びの目的(課題)を持たせる。
「このようにやってみたい」「できるようになりたい」など幼児自身の必要感から生まれる課題を大切にする。
イ 幼児自身で遊びを進めていくようにする。
自分から活動に取り組み、遊びの目的や課題に向けて、工夫したり、試したりして困難をのり越えていけるように援助する。きびしさや抵抗をのり越えた時、やりとげた満足感を持つことができ、次の活動への意欲につながるのである。
ウ 適切な援助をする。
活動が停滞したり、混乱した時の教師の温かい励ましは、幼児に自分の力でやりとげようとする意欲をもたせることにつながり、発見や驚きに対する承認や共感は、自信や満足感・充実感につながるようにする。
(三) 主体的な活動を促す環境構成
幼児に望ましい経験や活動を促すのは環境である。幼児がより主体的に活鼠を展開するには、教育内容を直接に与え、教えるのではなく、環境の中にねらいや内容を含め、幼児が環境にかかわることによって、発達が促されていくようにしなければならない。
そのためには、その時期時期によって、あるいは個々の幼児にとって興味ある対象や魅力的なものは何かをとらえる必要がある。環境構成は、
1 指導のねらいの達成を目指し、活動意欲をかきたてる魅力ある環境構成に努める。
ア 活動に取りくむきっかけは何か、幼児自身の活動にしていくには、何を、いつ、どのように材料や用具を提示したらよいかなどをとらえて環境構成をする。
イ 幼児の興味や欲求によって活動への取り組み方が異なることに留意し、幼児が多様な取りくみに対処できるように、遊具、材料、場所などの準備をし、一人一人の幼児が活動後楽しかったという実感を持たせるようにする。
ウ 幼児と一緒に環境を作ったり、幼児が自ら環境を再構成していくようにする。
幼児が主体的に活動に取り組むと、幼児自身、遊びが発展するように環境を変えていくようになる。いつでも幼児の要求に応じられるよう材料、遊具場所などの準備を十分しておくようにする。
エ 教育内容の系統性をふまえる。
材料の種類や出しかた、遊具の与えかた、絵本の選びかたなど、系統性を考えて準備をする。
おわりに
以上、学校教育を推進するうえで、重要と思われる事項について述べた。
各学校、各教師が自らの教育活動が適切に行われているか否かを確かめる手がかりとして、あるいは、自らの課題設定の手がかりとして活用されるよう期待したい。これらの事項に配慮して学校教育を進めるに当たり、教師自身としては、次の事項心ついて努力する必要がある。
1 教師自身が豊かな人間性を身につけるよう努める。
2 教師が、教育愛と使命感を基に真の人間教育を主体的に進める。
3 教師各人が、地域社会の状況、地域の人々の願い、地域の子供の状況
を十分理解地域の学校としての課題解決に努める。
4 教師自身が、常に自己研修に励み新しい教育を推進するために、自己の資質・能力の向上に努める。
学校教育に関する課題は多い。
それら課題の中には、考え方によっては、教育における永遠の課題といえるものも少くない。
しかし、現に教育の対象となっている児童生徒のより望ましい伸長・発達を願い、課題解決に一歩でも二歩でも近づくよう、地道に、しかも積極的に取り組んでいくことが重要である。
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