教育福島0064号(1981年(S56)09月)-011page
いうまでもない。発達段階に即して指導案が立てられ、多くの時間をかけて指導した新鮮な知識が親の無理解とまわりの社会情勢に左右され、子供への「おしきせ」が生徒の心をふみにじりその将来の人生像を崩壊させてしまう例もある。このようなことは、理解を深めた生徒のみならず全ての努力を無にしてしまうことになるので、本校では父母の研修の重要性に着目し「父母の年間研修計画」(略)のもとに父母の積極的な参加を呼びかけながら、この研修に取り組んでいる。
(五) 調査・検査の実施と結果の活用
進路指導に当たって、過去・現在にどんな問題があるのか、また、将来どのような人生や職業を考えているのか指導上の資料を得るために在校生、卒業生、保護者の各層にわたっての諸調査・検査が必要である。
本校では「諸調査・検査の年間実施及び活用計画」 (略)を作成し、取り組んでいる。
(六) 情報・資料の収集と活用
生徒達が進路情報、資料を切実に要求するようになるのは、進路決定に迫られる三年生になってからである。従って、その情報、資料も生徒のこの要求にこたえるための職場・高校・各種学校等に関する情報・資料が多く集まる傾向にある。しかしながら、これらの情報・資料では、一・二年生の期待や要求にそうことはできない。進路発達段階で必要とする情報・資料は、学習指導の中での進路の学習や道徳の時間あるいは個別相談等にもあわせ活用することができ、望ましい人生観・職業観を養えるものでなければならない。
このことから本校では、進路学習の年間計画に基づき、題材のねらいに合わせて指導上必要な情報・資料を計画的に収集し活用を図っている。なお、収集した情報は、進路センターを設置して、整備・保管に努めるとともに、教師はもちろんのこと、生徒・保護者がいつでも活用できる場にもなっている。
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これまで表面的ではあるが、本校の進路指導の一端として、計画や実践面について述べてきたが、実践しての結果の分析や評価等については、来る十一月二日に進路指導研究校としての研究公開発表会を開催し、全容を公開するとともに諸先生方のご指導を仰ぐ所存である。
いわき市立
勿来第一中学校
本校は、昭和五十五年度から二か年間にわたり、福島県教育委員会の指定をうけ、進路指導の実践研究を進めているところである。
実践研究を進めるに当たって、本校でこれまで行ってきた進路指導を次の観点から考えてみた。
1) 卒業時における就職、あるいは高校選択の指導のみにかたよっていなかったか。
2) 「人生設計の指導」として組織的計画的、系統的に指導してきたか。
3) 生徒の職業的発達を促進するための指導・援助は十分であったか。
4) 生徒理解を深める活動と、生徒に正しい自己理解を得させる活動は十分であったか。
5) 家庭との連携・協力は十分であったか。
これらの点を反省してみると、必ずしも望ましい進路指導のあり方でないという点もみられた。
特に本校は、ほとんどの生徒が、高校進学を希望しているが、その選択の基準が、一部には有名高校指向の生徒がおり、他方、入学できる高校ならどこでも良いという。進学の動機や目的がはっきりしていない生徒もみられ、高校入学後、次のような実態が問題としてでてくる。
1) 進学先の高校・学科に不満を持つている。 (三〇・二パーセント)
2) 現在と違う高校・学科に変わりたいと考えている。(九・五パーセント)
3) 高等学校をやめたいと考えている。(一・二パーセント)
(昭和五十四年度高等学校進学者に対する実態調査−−五十五年九月調べ)
これらの原因を考察してみると、生徒一人一人が自己の能力・適性等を十分把握し、しっかりした進路計画を持って中学校卒業後の第一歩を踏み出すことができなかった事にあると考えられる。
そこで本校では、研究主題を、「生徒一人一人の能力を伸ばし、適性を見いだす進路指導」と設定し実践研究を進めることにした。
一 研究実践の方針
(一) 全職員が、望ましい進路指導についての共通理解を持ち、研究を進める。
(二) 全体研究会を中心とした研究体制を整える。
(三) 文献研究、実践研究を行い、先進校の成果の上に、本校独自の研究をつみ重ねる。
(四) 学級指導(「進路の適切な選択に関すること」)の授業の改善に重点をおいて研究を進める。
(五) 生徒の自己実現への自己指導能力の発達を促進するための進路相談の実践研究を行う。
(六) 保護者との連携を密にした、進路指導の実践研究を行う。
二 研究内容
(一) 進路指導全体計画と個別計画の改