教育福島0064号(1981年(S56)09月)-025page

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自動車、機械、製本、木工、縫製、印刷関係等となっている。卒業生の三割前後は、県外に就職している。聴覚障害者雇用の実態は、全国的にも従来に比べて、大きな変化がおきている。

企業に対して、障害者の雇用を義務づけるなど、聴覚障害者が進出して、従事する職種は、大幅に拡大している。

聾学校には、四つの職業科(産業工芸、被服、クリーニング、金属工業)があるが、職業教育と社会的自立をどう結びつけるかということが、今後の課題となってくると思われる。

ウ 肢体不自由養護学校

昭和五十三年度は、就職する生徒が約半数あったが、昭和五十五年度は、一名だけである。これは、障害の程度が重度化・重複化するなど、対象生徒の実態が、以前と随分変わってきているからである。障害の程度が多様な生徒に対して、どのように対処していくかが、今後の問題点となってくるだろう。

エ 精神薄弱養護学校

毎年、半数以上が就職している。職種も多様で、製造、包装、クリーニング、縫製、板金等となっている。就職しても、それぞれの仕事の内容により職場適応等いろいろな問題があると思われる。そのため、学校では、職場に適応するための態度や責任感、対人関係などを養うと同時に、個々の生徒の能力・適性等の発見と開発を前提として、生徒が自主的に進路を選んで、自己実現を達成していけるような能力を育成していく必要がある。

(2) 進 学

大学や盲学校専攻科、各種学校への進学者は、昭和五十三年度二十二・二パーセント、昭和五十四年度二十三・一パーセント、昭和五十五年度三十二・二パーセントと少しずつながら増えてきている。

ア 大学への進学

この三年間、大学へ進学した生徒は四名であるが、この内三名は、盲学校の生徒で、筑波大学理療科教員養成施設に進学している。もう一名は、肢体不自由養護学校から、昭和五十五年度に東北福祉大学に入学している。

昭和五十八年度から、学生を受け入れる予定の筑波大学身体障害者短期大学(仮称)の開校は、身体障害者のための新しい高等教育機関として期待されている。これは、視覚障害者短大と聴覚障害者短大の二短大で、筑波研究学園都市に設置されることになっている。

両短大とも、入学定員は、八十名、(四学科)ずつで、修業年限は、三年となっている。

イ 専攻科への進学

これは、盲学校の専攻科(理療科)で、大部分が盲学校の卒業生である。入学者数は、増えつつある。科目として、解剖学、衛生学、東洋医学概説、理療実習等があり、専門的な学習をしている。

ウ 各種学校への進学

精神薄弱養護学校以外の学校から入学している場合が多い。進学先は、国立・県立の身体障害者職業訓練校(ほとんど他県)や、職業訓練校、和裁・洋裁の専門学校、他県の調理師学校である。

(3) 施設入所

施設に入所する生徒は、肢体不自由養護学校と精神薄弱養護学校が多くなっている。入所先は、主に、更生施設と授産施設である。特に、脳性まひ児の多くいる肢体不自由養護学校は、よりよい進路の在り方について、いろいろ模索しているのが実情である。

(4) 家庭保護

昭和五十三年度は一名、昭和五十四年度は四名、昭和五十五年度は三名となっている。家事見習とか、病気のためというケースである。

(5) その他

高等部卒業生で、入院している生徒は、この三年間皆無である。

障害児の場合、進学にしても、就職するにしても、限定されがちである。進路先や、職場では理解と、社会全体への啓もうが、非常に大切であるが、それとともに、毎日の学校生活の充実が、進路指導に結びつくことになるので、生徒一人一人の生き方についての指導や、その可能性を伸ばしてやる教育活動を通して、よりきめ細かな配慮をしていく必要がある。

 

社会見学(県立盲学校)

社会見学(県立盲学校)

 

小学部「送別会」(郡山養護学校)

小学部「送別会」(郡山養護学校)

 

 

 


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