教育福島0064号(1981年(S56)09月)-031page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

知っておきたい教育法令

 

教職員定数

 

一 はじめに

臨時行政調査会は、行政改革に関する第一次答申をしたところであるが、答申中、地方公共団体の合理化、効率化方策で「職員増加部門における増員を厳しく抑制するため、財政再建期間中、公立小・中学校及び公立高等学校の教職員については「第五次学級編制及び教職員定数改善計画」及び「第四次公立高等学校教職員定数改善計画」の実施を停止するとともに、児童生徒の増加に伴う増員措置は、弾力的に対処することによって大幅に縮減し…厳しく増員を抑制する。」と述べた。

教職員の定数と一人一人の教職員の負担する仕事の量とに密接なかかわりがあることはいうまでもない。今回は定数の意義、定数の決定方法等について検討する。

二 定数の意義

国民ないし住民の福祉の増進を積極的に図っている今日、国や地方公共団体のなすべき事務は多くかつ複雑である。

この事務を秩序だって効率的に行うために行政組織を秩序づけ、行政機関を配置し、それぞれの機関に一定の人員を配置している。この各行政機関の事務を遂行するために恒常的に置く必要のある職に充てるべき常勤の職員の数を定数という。

定数は、国の場合は法律で(「行政機関の職員の定員に関する法律」)地方公共団体の場合は条例で定めなければならない(地方自治法第一七二条第三項)とされている。もちろん定数の範囲内で行政機関の各部門に具体的に人員を配置することは、権限ある当局の行うべきことである。

三 教職員定数の基準

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十一条第三項によれば、教職員の定数は、当該地方公共団体で定めなければならず、また同法第四十一条では県費負担教職員の定数も、都道府県で定めることになっている。

ところで、各地方公共団体の財政力は必ずしも同じではないため、各公共団体の教職員定数に差が生じ、それが教育水準の維持に彰響を与えることが考えられるため、法令で教職員定数についての統一的な基準を定めている。

(一)学校教育法等による基準

小学校においては校長のほか教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。しかも各学級ごとに専任の教諭一人以上を置かなければならないとされている。(ただし、特別の事情のあるときは、教頭又は事務職員を置かないことができ、また校長又は教頭が教諭を兼ね、助教諭を以て教諭に代えることができる。学校教育法第二十八条第一項及び同条第十二項、同法四十条、五十条、同法施行規則第二十二条)また、中学校においては、一学級当たり教諭二人を置くことを基準とするとされている。(学校教育法施行規則第五十二条)これらの規定は基準としては必ずしも明確でない。

(二)義務制標準法及び高校標準法

各地方公共団体が教職員定数条例を定める際に基準としなければならないのは、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」と、「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」である。この法律では、都道府県ごとの公立義務教育諸学校及び公立高等学校に置くべき教職員の総数すなわち定数条例で定められる教職員定数について、小・中・高等学校並びに盲・聾・養護学校の小・中・高等部別に校長・教諭・事務職員等の職種ごとに学級数を基礎としてその標準となるべき数を定めている。なおこの法律には各学校に置かれる学校用務員・給食調理員等の単純労務職員についての規定がなく、それら職員の定数は各地方公共団体の判断にまかせている。

ところで、教職員定数は各学校ごとの職員の数ではなく、都道府県単位の教職員の種類ごとの総数をいい、また「標準」であるから法律の定める数と条例上の数とを同一にするかどうかは当該地方公共団体の判断にまかされていることに注意する必要がある。

四 教職員定数条例

教職員の定数について本県では、福島県教育関係職員定数条例で定められている。この条例によれば、市町村立学校教育関係職員は一四、三九九人、県立学校関係は五、七九一人である。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。