教育福島0064号(1981年(S56)09月)-032page
わたしの研究実践
いわきの野外観察
−生物、地学の教材化−
いわき市中学校理科第二分野同好会
代表 佐々木達夫
一 はじめに
昭和五十六年度からの新教育課程全面実施にともない「身近な自然を重視した理科指導をする。特に『自然の事象、現象に直接触れる学習』が従来以上に行われるよう配慮すること」が強調されている。理科を指導する教師は各種会合のたびに改訂の方針を認識しどのように地域の自然を教材化するかを話題の中心としてきた。
このような時期に当たり、いわきの自然に直接触れ、この目で確かめ、記録して探究すれば、生徒の理科教育に役立つであろうという意識が理科好きの教師の間に高まった。
二 いわき市中教研理科部夏季臨地講習会の実態
いわき市中教研理科部会では、二年に一回の夏季臨地講習会が実施されている。この会は、長い歴史と伝統がある。部長を中心として、庶務、理事のかたがたの企画、講師依頼、場所、日程の選定などの責務と苦労は容易ではない。
しかし、この講習会は、理屈ぬきで研修ができるので、理科教師の最大の期待を集めており、実際に役立つ研修としては最高のものである。参加者も中・高校生、養護学校の教諭等、幅広い層から多数集まり好評を得ている。
本会の礎となった過去十年間の臨地講習会の内容は、次のとおりである。
・ 柳沢一郎博士(いわき短大教授)
「いわきの地質時代」
(古生代、中生代、新生代)
・ 古内栄一先生(磐城女子高校教諭)
「いわきの植物」
(照葉樹林と夏緑樹林)
・ 根本 守先生(平工業高校教諭)
「いわきの岩石」
(偏光顕微鏡による分析法)
・ 芳賀北彦先生(いわき教育事務所管理課長)
「いわきの海藻探集と標本製作」
・ 鈴木 直氏(東邦亜鉛勤務フタバスズキ竜発見者)
「いわきの中生代の化石」
三 第二分野研究同好会の発足
これからの理科教育は、地域の素材を教材化するため、同好の士で研修することが一番だということになり、十名のメンバーが自然に集まりスタートを切った。
というのは、前述した夏季臨地講習会に参加した教師の中から、毎年のように、もう一度巡検しなおしてみたいという声が出ており、それが次第に高まりつつあり、昭和五十五年四月当初計画や、目標になんの具体性もないがなんとか実施してみようということになった。
そのようなとき、当時いわき教育事務所指導課長であった芳賀北彦先生に研究方法について、指導と助言をいただき、その中に、文部省がわれわれのような研究グループに助成金を出す制度があることを知らされ、さっそく申請したところ、認可され、十万円の資金を基に活動できることとなった。
四 第二分野研究同好会の計画と実践
(1) 研究の方針
中学校理科の第二分野領域における「地域の自然を素材として教材化し、理科の授業に役立てるためにその調査、開発」を行う。
(2) 実践内容(表参照)