教育福島0064号(1981年(S56)09月)-046page

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ミニ校の子ら 日米親善

 

−県南教育事務所−

 

「ようこそ、ジェニーさん

 

「ようこそ、ジェニーさん

よくおいでくださいました」

東白川郡内でも超ミニ校の鮫川村立青生野小学校では、六月十九日、学校法人石川高等学校留学中のジェニー・サールさん(十七歳)=アメリカ、カリフォルニア州=を招待し、楽しい交歓の一日を過ごした。

ジェニーさんは、米国の優秀な学生を留学生として海外に派遣するA・F・S(アメリカ・フィールド・サービス)から派遣され、今年四月から学法石川高に学んでいるアメリカ留学生である。この三か月の間に覚えた日本語で、クラスメートとも、どうにか片言の日常会話が話せるようになったジェニーさんは、一般学生との勉強のほかクラブ活動として、生け花や弓道にも励んでいる。

青生野小学校は、阿武隈山地の南部に位置し、標高六百三十メートルの高冷地にある。全校児童三十七名、教職員六名、山間に点在する九十戸の農家を学区とする三級へき地の小規模校である。

当校は、村教育委員会の委嘱をうけ課題研究として「正しく、豊かな語い力を持つ子供にするための指導はどうあればよいか」のテーマに取り組んでいる。授業の充実を図るため、授業研究を積み重ねるとともに、児童のへき地性解消のために、児童の対外的な体験学習も数多く取り入れている。

また、JRC活動としても、「五」「三」の日(ゴミの日)には、国道二八九号線の清掃を行うなど「健康、奉仕、親善」をあい言葉に、活発な活動を続けている。

この様な活動の一環として「辺地の子供たちに、他の国の人と接するチャンスを与えることにより、国際性を養い、国際親善にも役立てよう」とのねらいから、学法石川高に申し入れ、この交歓会が実現した。

午前十時、校長の案内で同校に着いたジェニーさんは、日米両国の国旗と全校児童のあたたかい拍手に迎えられにこやかに校門をくぐった。

子供たちは初めてみる“青い目”のお姉さんにびっくり。

「目が青くて、お人形さんみたい」

「金髪ってきれい」

と百七十センチに近い長身のジェニーさんに、一様に驚きの表情を示した。

校庭で開かれた歓迎集会では「こんにちは、ジェニー・サルースです。どうぞよろしく…」と、片言の日本語であいさつされ、さっそく二、三年生と一緒に机を並べて書写の勉強に取り組み、日本の「日」の字に挑戦した。続いて五、六年生と図工(切り絵)の授業を受けた。ナイフのさばきもあざやかに「姉さま人形」を上手に作り上げ児童とともに大喜びだった。

全校児童とともに学校給食を囲んでからのお楽しみ会、一年生と手をとりあって、一緒に歌ったり、踊ったりの楽しいひとときを過した。

お別れにあたり折り鶴が児童より、授業で使用した習字用具一式が校長より記念としてプレゼントされた。更に先生がたからは、この日の親善を記念して白河だるまがおくられた。「無事に留学生活を終え、帰国したとき、もう一方の目を入れてください」との言葉に大きくうなずいていた。

児童一人一人と握手をかわし、車で青生野小学校をあとにしたジェニーさんを手を振りながら追いかける山の子らの姿に、目にいっぱい涙をため、「かわいい子供たちと一緒に勉強できて楽しかった」「この日のことは決して忘れません。いいおみやげができました」と異国での貴重な体験を心から室戸んでいた。

 

アメリカでも給食ってあるの?

アメリカでも給食ってあるの?

 

 

 


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