教育福島0065号(1981年(S56)10月)-013page

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た。

表3は、この方式実施直前の通常授業における有効度指数とこの授業のそれとを比較したものであるが好結果を残すことができ、非常に喜ばしいことと考えている。

また、この方式による授業に対する生徒の反応は、表3・表4のとおりである。

 

五 この授業に対する生徒の感想

 

(下位グループ)

○ABCに分かれていると、その人の力に応じて問題を解くことができることで、自己評価テストなどで、自分の出来ない所がわかり大変よかった。いつもの授業では、むずかしい問題など、先生がやったのをノートにうつすという感じだったが、こんどの授業では、そういうことが少なくて成果が上がった。

×僕がプリントのどこかでつまずいていると、他の人が先へ行ってしまい焦って進めなかった。

(中位グループ)

○いつもだと先生が例題をやってみせて、僕達が問をやるだけだったが、今度の方法は自分で何問も解くのでその時間のうちにおぼえてしまう。それで自信がついた。B段階までやれば八○点位とれそうだというのでやる気が起きた。

○今までやった授業と違い、自分でも不思議な位よくできたと思う。中間テストはまさに驚異的な点数だった。こんな点数、この教科でとったのは初めてだ。この学習方法は知らない間に力がついている。

○ABCの段階すべてをクリヤーする事は容易な事ではない。しかし、生きている喜びを知った。

※ その他に多種多様な反応があったが、中にはプリントに解答をつけるようにといら有難い(?)指導助言もあった。

 

六 おわりに

 

生徒個々の目標設定には、生徒自身の判断に適当でない面もあり、指導が必要であった。しかし、問題解決の過程では、自分の設定した目標段階に積極的に迫っていく姿がみられ、これは、通常の授業ではなかったことである。

また、通常の授業では、成績評価が上位・下位の二山型の異常分布を示していたものが、実施後は、正常な型の分布に復しつつある事に留意したい。また、この学級集団のその後の全教科にわたる学期末成績が、他の学級に比し大きく向上し、特に下位集団の個人平均点の上昇に目を見張るものがあった。この研究の最終目標であった学習意欲の向上にいささか寄与し得たと自負する反面生徒の多くに、A段階で事足れりとする風潮が発生したら…と考え、これを自戒の念としたい。

 

理科

 

まえがき

 

高校進学率の上昇に伴い、「わかる授業」の実践が強く叫ばれ、その効果が大いに期待されている。生徒にとって、学校生活の大部分は授業である。その授業に充実感を持たせ、喜んで参加させていくためには、指導者としてどう取り組んでいくべきなのか。その取り組みの姿勢こそが今期待されているのだと思っている。私は微力ながら、この趣旨をふまえて、その実現のために種々の実践を行ってきたのでその一部を紹介したい。

 

一 生徒の実態

 

二年前、現任校に着任し、化学の授業に臨んで、特に次のようなことを感じた。

○化学は最初から難しいときめ、嫌いだとしている生徒が多いこと。

○自然の事物・事象に対する関心が薄く経験が乏しいこと。

○授業に集中力が弱く、私語や机上の落書きが多いこと。

○予習・復習など、いわゆる学庭学習の習慣化がなされていないこと。

○ノートをまとめるのに、多くの時間がかかること。

こうした生徒の実情を感じたことから、更に充実した、楽しい授業の雰囲気を醸成するために、客観的な資料を得て、指導を実践しようと考え、理科に対する実態調査を実施した。

現在、小中高の一貫した指導が特に重要視されていることから、本校一年生全員に、中学校時代に学習した理科の内容について、興味と関心度を調べてみた。 (図1参照)この結果、中学校時代において、すでに学習領域別に興味・関心の差が明瞭に出ている。(特に高校でいう、化学領域にマイナス部分が目立っている)一方、表1の結果によると、男子生徒の理科に対する興味関心は強く、女子は弱い。更に高校入学後において、それが一段と進行していることが他の調査で明らかである。その理由として、殆どの生徒は授業内容のむずかしさをあげている。(表2参照)

 

二 授業の実践(生徒の主体的活動の重視と指導の個別化)

 

生徒の実態をふまえ、主体的活動を期待し、次のような計画を立て、授業展開を行ってきた。

1) 講義は三〇分で終わり、残りの二〇分は生徒自身の主体的活動の場とした。授業の導入は、スムーズな学習目標の明確化を図るため、身近な例を取上げ、その定着を容易にするよう心掛けた。また、緊張した授業態度を確立するため、化学史などを取入れたり、質疑応答なども意図的

 

 

 


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