教育福島0065号(1981年(S56)10月)-014page

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に取入れた。

次に、生徒の主体的活動の場を各生徒の到達度に応じた課題解決学習の場とした。勿論、その課題は基礎的な内容から、発展的なものへと段階的に提示した。そして、その努力の結果を認めるために検印を与え、努力に対して声をかけることに心掛けた。

(二) 実験はできるだけ多く取入れることを心掛け、生徒実験一八、教師実験二八を計画実施した。生徒には、生徒の学力に応じた実験書を与え、実験後のレポートを全員に提出させできるだけ早い時期に指導を加えて返し、生徒の思考がフィードバックできるよう心掛けた。

(三) 毎時間の終わりには、学習到達度別に、難易度の違う宿題を与え、次の時間には必ずその結果を利用することにした。

(四) 問題演習や宿題等の検印の数は、各期末に、学習への参加状況並びに伸長度の評価として、評価に加えることを予め、生徒に約束した。

講義を三〇分で切上げるためには、指導内容の精選が必要であった。これには、基本事項をおさえ、指導内容を構造化し、到達目標を明確にする必要がある。

生徒の学習の習慣化のためには次のようなことが特に大切だと感じた。すなわち、生徒に与えた課題は必ず確認し、検印を押し、助言を与えることである。私たちは、ややもすると、忙しさのため、宿題を出しても、その事後処理を適当にしがちである。「やって来た者、手を上げろ…」 「やらない者が多いなあ…。駄目だ!」などと言うだけでは効果はなく、学習の習慣化は図れない。大事なことは、生徒一人ひとりの努力を認めてやることである。易しい問題につまずき、それでも真剣に考えている生徒がいたら見逃してはならない。このような生徒は遅れて恐る恐る検印をもらいに来る。このとき、「よくやったな!」の一言が大切である。そこには「久々の印だ!」と身を震わせて喜ぶ姿がある。このとき、生徒は自分の中に、育つ力、成長する意欲を意識するのだと、実践を通じて感じたので走る。

一斉授業の中で、指導の効果を百パーセント期待することは難しいが、試行錯誤しながら、教材や指導法について工夫し、生徒一人一人の反応を見ながら、多面的に指導することが、わかる授業につながり、学習効果を高めることになるのだと思う。

 

三 化学の実験

 

理科の学習において、観察や実験の重要なことは、今更言うまでもないが生徒は特に実験が好きだ。私が実験に重点を置くのもこのためであり、生徒の主体的活動を重視するためでもある。従って実験を多く取り入れた授業の展開は、学習意欲を喚起させる最良

 

表1:中学校時代の理科に対する興味 (%)

−調査 394名−

表2:理科のきらいな生徒について,分野別興味・関心と内容の理解度(%)

 

表2:理科のきらいな生徒について,分野別興味・関心と内容の理解度(%)

表2:理科のきらいな生徒について,分野別興味・関心と内容の理解度(%)

 

表3:化学の授業に対しての生徒の意識

表3:化学の授業に対しての生徒の意識

 

 

 

 


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