教育福島0065号(1981年(S56)10月)-022page

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(イ) 学習計画には順序性や系統性・発展性について助言指導をする。

(ウ) 音楽的に優れた適切な教材を準備し、生徒の実態に即した教材を選 ばせる。(教師は豊富な楽譜や資料等を準備して、生徒の要求に対応できるようにする。)

(エ) 教材は個人及びグループの実態に応じて、無理なくそれぞれの目標に到達できる数を選ばせる。

2) 個別及びグループ学習における 指導

(ア) 個別及びグループ学習に入る前に、本時のそれぞれの学習課題を把握させ、ねらいを明確にして主体的に学習が実践できるようにする。

(イ) グループ学習では、リーダーを中心に教え合い励まし合って、協同で音楽を創造する雰囲気をつくる。

(ウ) 音楽の美しい表現をめざし、そのための奏法(唱法)や表現の工夫を生徒自ら解決(発見)できる素地を養う。

(エ) 巡回指導において、個々の生徒のつまずきや進捗状況の確認を通して、適切な助言指導をする。

(オ) 個々の生徒の学習状況を指導カルテに記録し、次時の指導に活用する。

(カ) 自由選択学習の学習過程(形成的評価)を重視し、伸長度や積極的な学習態度を評価に位置づける。

五 学習成果の発表(自由演奏)

前述の通り、本校は二期制を取っているので、前期は個人の学習成果の発表(独唱・独奏)とし、後期はグループを中心とした学習成果の発表(アンサンブル)を実施している。

自由演奏のねらいは、個々の生徒の自己実現を図るとともに、生徒自ら選んだ声楽や器楽を通して音楽性を培い主体的・創造的に音楽づくりをすることにある。また音楽の素晴しさに気づかせ、ひいては音楽を愛好する心情を養うことにある。

発表当日はできるだけクラス担任や空き時間の先生がたにも聴いていただくことにしている。それは、生徒たちに適度の緊張感と興奮を味わわせるとともに、先生がたにとってもホーム・ルームや普通授業で想像もつかなかった生徒たちの姿を発見することができるからである。

(1) 個人の発表(独唱・独奏)

前期末の四時間を自由演奏に当てている。演奏種目はそれぞれの生徒の学習計画に基づいて学習してきただけに演奏内容もかなり充実している。特に生徒一人一人が積極的に演奏している姿を見ると、自由演奏を授業に取り入れ効果を上げつつあることに心を強くしている。

演奏曲目の一例

○ 独唱・「冬の旅」より、トステイ「歌曲集」より、「日本の歌曲」

○ リコーダー独奏・「グリーンスリーブスによる「幻想曲」

○ ギター独奏・「愛のロマンス」「乙女の祈り」 「アルハンブラ」

○ ピアノ独奏・「夜想曲」 「トルコ行進曲」他

(2) グループ発表(アンサンブル)

楽器等の編成は、生徒の自主性によって編成され、四重唱、リコーダー・コンソートをはじめギターあるいはピアノを伴奏とするリコーダー二重奏・三重奏等。また変わった編成ではリコーダーと樽といった編成で、日本民謡を演奏するなど創意工夫がみられ、楽しい雰囲気のなかで発表が行われている。

演奏曲目の一例

○ リコーダー四重奏曲「リチェルカーレ」 「シンフォニア」

○ リコーダー二重奏曲「アンダンテ」

○ ギター三重奏曲「愛の夢」

○ ギター二重奏曲「小フーガト短調」

六 生徒の感想と自己評価

年度当初あるいは学期ごとに生徒の学習計画や目標を提出させているので発表終了後、自由選択学習のまとめとして、学習過程の記録及び反省(自己評価)の記録を提出させている。その一部を列挙してみる。

ア 自分の実力に対して学習計画に無理があり、十分消化しきれなかった。

イ 自分の得意な楽器を更に伸ばすことができた。

ウ 大学入試一直線の人間には、不必要だと思っていたが、人生の楽しみには欠かせない事に気づいた。

エ 消極的な自分に舞台度胸をつける良い訓練になった。

オ 技術がまだまだ未熟であるが、これからもこの楽器で人前でも演奏できるように練習を続けてゆきたい。

カ 発表も勿論だが、それまでの過程が大切、音楽を通して何事にも練習そして努力の必要性を再認識できた。

七 おわりに

生徒の主体性・創造性を育てるための自由選択学習を授業に位置つけて実施しているが、生徒の学習記録や反省記録から、かつての生徒の学習意欲や音楽感、更には演奏技術の向上の面からよい方向へ変容してきている。

しかし、自主的学習活動を自習と考えたり取り組みの甘さから技術的な差がでる等問題点もあるので、今後更に実践を通して研究を進めていきたい。

 

真剣な演奏風景

真剣な演奏風景

 

 

 


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