教育福島0065号(1981年(S56)10月)-026page
活の具体的な事ができるようにさせる。
本校は施設から通っている子供がほとんどで、公共の交通機関を利用した経験が少ない。「乗ってみたい乗り物は」と聞いたら「飛行機、電車、ロケット、新幹線、福島交通のバス」と答えた。それで、電車やバスに本当に乗ろうということになり「乗り物」の単元が始まった。事前に切符の買い方、バスの整理券の取り方などいろいろ真剣に学習した。そして当日、やや緊張しながらもバスや電車に乗り、歓声をあげていた。そして学校に帰ってくるとすぐ「また乗ろうね」と満足そうな表情で言っていたり
その他、自分たちで栽培した作物を調理して食べ、収穫の喜びを味わう「秋の食べ物」や、調理実習「インスタントラーメン作り」 「お好み焼」など家庭に帰ってから一人でできるようにさせたいと思って行っている。
(四) 季節に合った生活や遊びの経験を広めたり、行事へ積極的に参加できるようにさせる
特に行事では、できるだけ子供自身で計画を立てさせ、運営させる。「もうすぐ夏休み」「雪あそび」、「七夕」「ひなまつり」「春の遠足」などの単元
二 生活単元学習の組み立てと展開
(一) 強い動機づけをする
単元の初めにこれから何について学習していくのかをとらえさせる。これは単元への導入として非常に重要なもので、子供が課題意識を持てるように題材の提示にはいろいろな工夫が必要である。
例えば、ことばで言うだけでなく、視覚に訴えたり、歌を聞かせたりすると、ことばでの理解が苦手な子供でも理解しやすく、印象も強烈になる。
「怪獣ごっこ」では、怪獣の扮装をした教師が子供達を追いかけ、子供達に「怪獣をやっつけよう」というめあてを持たせることができた。
「運動会」や「学習発表会」では、昨年のスライドやVTRを見せる。その中に自分や友達の姿を見つけ、 「今年も頑張ろう」と意欲的になった。
「七夕」では、織姫と彦星の大きな人形を作り、暗幕を引いた部屋でスポットライトをあて、七夕の人形劇をしてみせた。すると子供たちはおもしろそうにじっと見ていた。小さい物より大きい物、動かない物より人形のように動く物、スポットライトをあてることにより刺激が統制されたのがよかったようだ。
(二) 学習計画を立てさせる
課題を解決するためにどんなことをどんな順序でしたらよいかを子供たち自身で考えさせ、単元の見通しを立てさせる。自分達で考えることができない場合でも、教師の考えを押しつけるのではなく、教師が助言し、ヒントを与えながら、子供自身で気づいたような感じにしていく。
例えば「乗り物」の単元で、バスや電車に乗るには、切符の買い方やバスや電車の乗降の仕方などについて知らねばならないことに気づかせ、どんな順序で学習するかを考えさせた。
(三) 活動を展開させる
子供自身で次々に展開させていくことが望ましい。初めに学習計画を立てることが難しい子供でも目前の事象から次に何をしたいかを考え、それがかなえられた時、成就感を味わうことができる。
「怪獣ごっこ」ではまず怪獣をやっつけるために赤玉、白玉を投げた。すると怪獣は退散するが再び楯を持って登場。子供たちは対抗して基地をダンボール箱などで作った。ところが、怪獣はドリルミサイルを持ってきて基地をこわしてしまった。すると子供たちは仮面ライダー、ウルトラマン、ヤマト隊員に変身すると言った。それで変身のポーズを練習したり、ライダーやウルトラマンのお面を作ったりという様に子供たちの発想でどんどん展開し子供たちが生き生きと活動した。
なお、展開する際には次のようなことに配慮する。
第一に、同一の活動だけでなく、子供の能力に応じて役割分担をし、いくつかの難易度の違う活動を用意しておくこと。第二に、興味を抱くような教材、教具を工夫すること。今まで作製
七夕の人形劇
怪獣ごっこ